望月みさお「白髪幽霊」(230円)



「たみ子は、田舎に出かけた際、パラチオン(日本では1971年に禁止された農薬)を散布した畑に入ってしまう。
 家に戻った彼女はひどい倦怠感に襲われ、ひと眠りするが、目覚めた時には、髪が真っ白になっていた。
 あまりに突然のことで、母親や恋人の宮地にも相談できず、彼女は独り、悩み苦しむ。
 髪を染めたり、短くもするが、何故か、髪が元通りになり(理由は全く説明なし!)、彼女は追い詰められていく。
 遂に、宮地に髪のことを知られてしまい、放心状態のたみ子は川へ投身自殺を図るのだが…」

 公害をテーマにした作品は多々ありますが、農薬(パラチオン)を扱ったものは珍しいのではないでしょうか?
 うまく調理したら、「怪奇マンガ版『沈黙の春』」となった可能性がなきにしもあらずでしたが、やっぱり、望月みさお先生なので出来は「へっぽこ」なのでありました。
 どこが「へっぽこ」なのかと言うと、この作品では、パラチオンの副作用は「白髪になる」だけで、白髪になった娘がウジウジと悩む内容なのです。
 ヒロインが農薬による副作用に苦しむ、社会派な内容にしたら良かったのに…と思いますが、もしかしたら、前号の予告で「白髪幽霊」と紹介してしまったので、こういう内容になってしまったのかもしれません。(あくまで推測ですが、その可能性はあると思います。)

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じの穴あり。カバー、後ろの下側にシミあり。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。

2018年6月19日 ページ作成・執筆


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