好美のぼる「くも婆」(220円/1966年頃)
「ある村に伝わる「クモ山」の伝説。
このクモ山には人喰いクモが棲んでいるといわれ、村人は決して山に入ろうとしなかった。
ある時、村は日照りに襲われ、食料が徐々に尽きていく。
それでも、村人たちはクモ山には行かなかったが、おすみ婆さんだけは人喰いクモは迷信だと考え、クモ山で多くの木の実や植物を採り、村人たちに食べ物を分け与える。
ある日、村人たちの止めるのも聞かず、おすみ婆さんはクモ山に登り、降りてこなかった。
おすみ婆さんを慕うさち子ととも子はおすみ婆さんを捜しに行こうともしない村人たちに腹を立て、自分たちがクモ山へ捜しに行こうと考える。
三日後、おすみ婆さんが山を下りてくるが、以前とは雰囲気が全く違っていた。
一方、村ではいよいよ食糧不足が深刻になり、村人の幾人かはクモ山へ食料を捜しに行く。
さち子もクモ山へ行くが、村人たちからはぐれ、行方不明となる。
とも子はおすみ婆さんが怪しいと思い、話を聞こうとするが、婆さんは天井の梁に腰掛け、鳩やカラスの死体を投げつけてくる。
翌日、とも子とさち子の母親は村人たちと共におすみ婆さんの後をつけて、クモ山へと登るのだが…」
とても楽しい作品です。
ラストの巨大な人喰いクモとのバトルは安直ながら、この安直さが心の琴線をビンビン振るわせます。
また、少女漫画を意識したのでしょうか、舞台は山中の農村なのに、ヒロインの少女二人だけは何故か洋服。(でも、靴はあまり履いておらず、基本、サンダル(草履?)です。)
彼女たちのペットのウサギ(の死体)もやけに可愛く描かれており、殺伐としたストーリーとの落差に感じ入ります。
・備考
ある親切な方から貴重な御本をお借りしました。本当にありがとうございます。借りたものですので、問い合わせをされましても、答えられないことが多いと思います。ご了承ください。
2024年7月20・25日 ページ作成・執筆