浅丘ルリ「魔女よ醒めるな」(220円)
「母子家庭の美加は、すっかりひねくれて、皆の嫌われ者。
ある夜、彼女は外で眩暈に襲われ、気が付くと、千葉から北海道の草原に移動していた。
混乱する美加の前に、見知らぬ少女が現れ、これは自分の魔力でやったことで、今後互いに必要になると話す。
美加が目を覚ますと、もとの場所におり、彼女は夢だと考える。
しかし、翌日、夢の少女が再び姿を現す。
少女は、美加を今度は九州の山奥に移動させ、また、もとに戻すと、美加にこんなことができるようになりたいか尋ねる。
この力があれば、憎い人間に仕返しができると少女は唆し、今夜、月が真上に来る時間に裏山の湖に来るよう告げる。
指定された時刻に、美加が湖に行くと、湖の中から少女が現れ、美加を湖の中に引きずり込む。
湖の底にはたくさんの少女達の死骸があり、更に進むと、湖底に洋館があった。
そこで、少女は自分が魔女であること、自分の後継者に美加が選ばれたことを明かす。
魔女は、九百年、眠り続けている大魔女(?)を守るため、百年ごとに後継者を選び、千年目に目覚めるまで、少女達の生き血を大魔女に捧げなければならない。
美加は逃げようとするが、少女に血を吸われた後、大魔女の血を飲まされる。
魔女になった美加は、憎む相手を次々と、湖底の館へと送り込んでいくが、徐々に良心の呵責に苦しむようになり…」
浅丘ルリ先生の怪奇ものの中では、まあまあ面白いと思います。
ただし、相変わらず、ストーリーの詰めが甘いなあ…。
魔女の後継者に選ばれるというストーリーはいいと思うのですが、後継者に選ばれたわりには、そんなにワルではなく、単なる寂しがり屋さんだった…っていうのは、実際問題、どうだろう…?(よくあるパターンですよね。)
その短絡的な展開をもう少し膨らませたら、佳作になったように思います。
・備考
非貸本っぽい。水濡れ痕ひどし。上角に折れ痕あり。
2020年3月11日 ページ作成・執筆