望月みさお「お化け狐と少女」(220円)



「ある山奥に、不思議な力を持つ狐が棲んでいた。
 山が人間に荒らされたため、餌となる小動物が少なくなり、狐は人間をだましては食料を手に入れる。
 ある夜、村民の作平は、その狐に化かされ、山中で迷ってしまう。
 そこで、無事に家に帰れたなら、「娘と同じように可愛がる」と神様にお願いする。
 彼はどうにか我が家へ辿り着くが、家の前で、少女に化けた狐と出会う。
 約束した手前、彼は、「こん子」と名付けた少女を家へ連れ帰る。
 作平の娘、喜久子は早速、こん子と意気投合。
 しかし、母親は、こん子が喜久子にのり移るのではないかと危惧し、こん子を家から追い出す。
 山へ戻った、こん子は山の動物達を使い、村の作物を全滅させる。
 だが、喜久子への想いが断ち切れず、狐は、人間の少女に化けて会いに行くが、母親に邪魔されて、怒り心頭。
 母親への憎しみに燃え、狐は村中を混乱に陥らせ、作平の山小屋に放火する。
 だが、獣取りの罠にかかってしまい、村人達に殺されようとするところを、喜久子の嘆願により、解放してもらう。
 喜久子への恩は胸にしみるものの、喜久子の母親への憎しみを抑えることができず、狐は母親を亡きものにしようとする…」

 望月みさお先生の作品は基本、人情ものなのでありますが、そこに動物怪奇譚を組み込んだものの方がより話が奥深く、面白いと私は思っています。
 この作品では、お化け狐(メスなのか?)が登場しており、キミョ〜キテレツな妖術だけでも、かなりの見応えがあります。(味わい深い「オバQ」です。)
 また、人間と狐が互いに憎悪し合うという設定もなかなか面白いです。
 望月みさお作品の中では、良作ではないでしょうか。

・備考
 デッドストック? カバーに若干の痛み。後ろの遊び紙、上隅に欠損。

2019年2月11日 ページ作成・執筆

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