小林生枝「たたり」(220円)
「岩橋新太郎は、いいところの息子でありながら、ヤンチャが過ぎて、勘当された身。
女房のお米になじられながらも、貧乏長屋で酒浸りの日々を送っていた。
そんなある日、友人の侍、平田大五郎が彼にある提案する。
それは、新太郎を偽の葬式に出し、両親から悔やみ金をせしめようというものであった。
ことはとんとん拍子に進み、平田は新太郎の母親から二百両という大金を手渡される。
だが、女衒のお糸に偽の葬儀と知られ、これを斬殺。
更に、新太郎も、お米と結託し、毒殺し、死体を無縁墓地に埋める。
大金を手に新たな土地で生活を始めた二人であったが、平田はお糸と新太郎の亡霊に悩まされ、酒浸りとなる。
金は尽き、お米は肺病、生活は荒れ果てる。
そんな時、平田は和紙問屋、銭屋喜平の娘を荒くれ者から救い、娘との間に結婚の話が出る。
運が向いてきたと考える平田であったが…」
東京漫画出版社で「時代怪談」ものを、知る限りでは、四冊描かれた小林生枝先生に関しては、全く情報がありません。
決して上手くはないけれど、そこまで下手でもない、洗練さの欠如した絵柄、かつ、目新しくも何ともないストーリーと、個性派ぞろいの東京漫画出版社の中では地味過ぎて、逆に目立っているような気がします。(太平洋文庫でなら、しっくりときますが…。)
だからと言って、つまらないワケではないのがポイント。
どのキャラも「腹に一物ありそう」な感じでして、このヒネた面が非常に「味」があります。
また、貸本漫画にしては、一コマ一コマ、それなりに丁寧に描かれているのも好印象。
一言で形容すると「朴訥」とした本作…いぶし銀のような作品と言えなくもないのかもしれない…。
・備考
ビニールカバー貼り付け。前後の見開きのノド、紙テープで補強あり。本文、シミ、汚れあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2018年6月26日 ページ作成・執筆