望月みさお「霊魂の声」(220円)
「東アコ、大戸春江、友子は仲良し三人組。
彼女達のクラスに内山明美という男子が転校してくるが、都会育ちのもやしっ子。
彼が転校してきて以来、アコは、悪夢に悩まされるようになる。
それは「地獄の底から私の足を引っぱり込むような」声が助けを求めてくるというものであった。
更に、同じ夢を、友人達だけでなく、担任の先生も見ており、その夢では、アコが幽霊や仏の上に腰をかけていた。
春江は、明美がアコをいつも見つめていることから、彼が夢の原因ではないかと考える。
ある夜、外をうわの空で歩く明美を見かけ、アコ達三人はその後をつける。
明美は墓場へと入り、涙を流しながら、母の束縛から自由になりたいとお月様に訴えていた。
この情景に複雑な気持ちになったアコは、また例の悪夢を見る。
翌日、クラスでは、明美がアコの悪夢の原因だととっちめようとするのだが…」
急転直下のラストに評価の分かれる作品だと思います。
ホラーというよりは、「田舎育ちの少女達とお金持ちで都会育ちの少年が紆余曲折の末、仲良くなる」という少女漫画らしい(?)ストーリーが基本で、元・少女漫画家だった杵柄か、所々、味わい深いやり取りがあって、興味深いです。
ぶっちゃけ、正統派の学園漫画にホラー要素をムリヤリ捩じ込んだような感じで、チグハグな印象が残るのではないでしょうか。
でも、こういう「ぎこちなさ」も、今となっては、すっかり姿を消してしまったように思います。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり、また、袖にビニカバ残り。糸綴じあり。pp9・10、下側に裂け。本文、シミ、汚れ、剥げ、多し。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と書き込みあり。
2020年10月31日 ページ作成・執筆