浅丘ルリ「怪奇人形の館」(220円)
「ある日、マリは奇妙な少女から、姉の朝子に贈り物を託される。
その小箱には、美しいガラス玉のネックレスが収められていた。
気味悪く思いつつも、その美しさに魅せられ、朝子はネックレスを首に飾る。
すると、自分を映していた鏡が突然割れ、朝子は気絶。ネックレスもバラバラになってしまう。
その夜、朝子を呼ぶ謎の声が聞こえる。
服の胸元はいつの間にか血に染まり、朝子は声の命令に仕方なく従うこととなる。
声の命ずるまま、朝子は町はずれの森の中にある館に向かう。
途中、湖では三人の少女の幽霊が朝子を人形の館に行かないよう引き留めるが、朝子には行くことを拒むことができない。
館には、マリに小箱を渡した、少女が朝子を待っていた。
少女は、ヴードゥーの魔術を使い手であり、呪いのネックレスによって朝子に呪いをかけ、朝子の魂を自由にすることができるのであった。
そして、死にたくなければ、蝋人形のモデルになるよう、朝子に話す。
と言うのも、少女の母親はアフリカ旅行の際、ある部落からヴードゥーの女神の人形を盗み出し、その呪いによって、延々と眠り続けていた。
その呪いを解くために、女神の人形よりも美しい人形を作らねばならぬと言う。
朝子は毎夜、人形の館に通うが、人形作りは難航し、憔悴していく…」
御都合主義なところはあるものの、全体的に見れば、なかなか面白いです。
個人的に、興味深く感じたのは、ヴードゥー教を扱っているところです。
当時、どれだけ知られていたのかはわかりませんが、ヴードゥーを扱った、かなり初期のマンガだと思います。(注1)
とは言うものの、どこかずれていて、ゴテゴテした衣装を着た少女が「ウ〜ラ、ウ〜ラ、ウ〜ラ…」と唱えるあたりは、ちょっぴり「おマヌケ」です。(ドラムの響きはどこから流れてきているのでしょうか?)
他にも、ネックレスを用いて入手した血をガラス玉に閉じ込めて、相手を操るのも、やはりヴードゥーなのでしょうかね。
まあ、今現在においても、ヴードゥー教は謎に包まれた部分が多いので、多少の勘違いはご愛敬でありましょう。
あと、念のために申し上げておきますと、テーマは「人形作り」であって、「人形」ではありませんので、「人形」の恐怖描写は皆無に近いです。あしからず…。
・注1
あの当時でヴードゥー教を扱った映画は、私の知る限り、ハマーの「吸血ゾンビ」(英/1965年)でありましょうか。
イギリスの寒村が舞台だったようですが、ヴードゥー使いの屋敷で黒人がボンゴ(?)を叩きまくっている描写があったように記憶しております。
非常にボロの多い映画と言われておりますが、私にとっては、長い間、視聴がかなわなかった映画なので、「幻の映画」という妙な思い入れがあります。
・備考
ビニールカバー剥がし痕、若干あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とボールペンによる書き込みあり。
2016年10月3日 ページ作成・執筆