浅丘ルリ「魔女花嫁」(220円)



「南の海、別荘地で有名な小さな海岸町。
 その海には、蜃気楼のように現れては、すぐに姿を消す、バリ・ハイという島があった。
 不思議なガスに包まれた、幻の島に住むのは、奇妙な少女と、黒人の召使、ガロの二人だけ。
 昔、この島では、少女の父親が「若返り」の研究をしていた。
 だが、事故のため、父親は死に、放射能を浴びた少女は、猿のように醜い姿となる。
 父親は、他人からから若さを吸い取る機械を発明しており、少女は鮫を操って、若い娘をさらっては、その若さを奪っていく。
 しかし、美しくいられるのは短時間だけで、少女は次々と凶行を繰り返す。
 そして、少女には夢があった。
 それは、まず、美しい娘として青春の日々を送り、その次に、幸せな結婚をするというものであった。
 その夢を叶えるために、少女は、海岸の別荘に遊びに来ていた、のり子を誘拐。
 彼女を使って、あかねをバリ・ハイ島へ誘い込む。
 これには、あかねの若さを奪い、更に、あかねのボーイフレンドをも手中に入れようという目論見があった…」

 荒唐無稽なストーリーですが、個人的には、なかなか面白かったです。
 ヒロインは、マッド・サイエンティストの娘で、容姿は猿(猿の時は、年寄り言葉)、かつ、鮫使いでもあるという設定からして、とばしてます。
 そんなヒロインが乙女チックな夢を実現すべく、いろいろな策を弄するも、どこかドタバタ感があり、ロマンチックな要素は皆無です。
 あと、この作品には、非常に見どころのあるシーンがありまして、それは焼き殺された少女がボロボロと崩れ落ちるシーン。
 当時の読者には、「はだしのゲン」並みのトラウマ描写だったのではないでしょうか?

・備考
 ビリ―ルカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け。背表紙下部、小欠損あり。糸綴じあり。本文、シミや汚れ、多し。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と貸本店のスタンプあり。

2018年11月21日 ページ作成・執筆


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