浅丘ルリ「三面人形」(220円)
「山間の小さな町で暮らす四人兄弟(美那子・忠雄・純子・正一)。
数年前、両親が旅先で事故死するという悲劇に見舞われるが、兄弟は悲しみから立ち直り、今はささやかながら平和な日々を送っていた。
ある日、純子は山の中でクラスの悪ガキ達が老婆をいじめているのを目にする。
この老婆はちょくちょくどこからともなく町にやって来て、ふんだんに買い物をしていくので噂になっていた。
純子が悪ガキ達を退散させると、老婆はお礼をせねばならないと、何かあれば、自分の家を訪ねてくるよう言う。
老婆の家はこの先の五色の湖の左側にある小屋であった。
この五色の湖は「人喰い湖」の異名もあり、入水自殺の名所として知られ、数々の奇怪な噂があった。
純子は気味が悪くなり、老婆に別れを告げ、立ち去る。
その帰り道、純子は姉の婚約者である曽我謙太の姿を見かける。
今日は姉とデートのはずだったが、彼の横には会社の上役の娘がいた。
帰宅後、姉の様子がおかしい。
純子は曽我謙太のことから姉が捨てられたらしいと見当をつける。
その翌日の日曜日、姉が行方不明となる。
彼女は曽我謙太と山中で話し合いをしているうちに、五色の湖に転落し、見殺しにされたのであった。
その場を怪しい娘が覗き見しており、曽我謙太は彼女を殴って、湖に転落させる。
その晩、美しい女性が純子の家を訪れる。
彼女は先日の老婆の関係者のようであった。
彼女は純子に五色の湖について来るよう言い、姉の遺体と面会させる。
気を失った純子が気づくと、小屋の中で、あの老婆に秘薬を飲むよう勧められる。
その後、純子は満月の下、湖で世にも不思議な光景を見ることとなる…」
「人喰い湖」に住む奇怪な女性をテーマにしておりますが、結局、この女性が何者なのか最後までよくわかりません。(ラスト、ちょこっと説明はされておりますが、全く説明になってません。)
この女性は老婆・美人・怪しい娘に変身することができますが、これについても説明はなく、更に、この設定はほとんど活かされておりません。
というわけで、個人的にはこの作品はビミョ〜だと思いますが、唯一、ヒロインが「幻覚剤」を飲まされて、不思議な光景を視るシーンはファンタスティックで良いです。
にしても、「幻覚剤」というところに時代を感じます。
・備考
ビリ―ルカバー貼り付け。糸綴じあり。本体歪み。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2023年8月19日/9月3日 ページ作成・執筆