月宮よしと「影に憑かれた女」(220円)



「生糸問屋、佐賀屋の娘、お美津は、使用人の己之吉(みのきち)とひそかに愛を育んでいた。
 しかし、お美津のもとに、湊屋の千吉との縁談が申し込まれる。
 更に、千吉の告げ口により、お美津と己之吉の仲は両親に知られ、己之吉は暇を出され、姿を消す。
 月夜、お美津は千吉を捜し求めるが、道陸神の影踏み遊びをしている子供達に影を踏まれてしまう。
 このことが、恋人を失った事、意に沿わぬ縁談といった事情と重なって、お美津は「影恐怖症」となり、家に引きこもるようになる。
 千吉との結婚式を控え、弱った両親は、下谷の行者に相談する。
 行者は、怪異の正体を明らかにするために、十三夜の子の刻(午前零時)に、蝋燭で娘の影を照らすように命じる。
 両親が行者の言葉通りにすると、障子に骸骨の形をした影が照らし出される。
 翌日、お美津の父親が行者にその旨、報告すると、行者は、娘に死霊が憑りついていると答える。
 実は、お美津の父親は、手代だった頃、主人を詐欺で破産させ、今の身代を築いたのであった。
 父親は金に物を言わせて、行者に祈祷を頼むが、過去の因縁は、意外な形で、お美津や、その両親に降りかかってくる。
 また、お美津を心配して、江戸に戻った己之吉は、殺人者の濡れ衣を着せられてしまう。
 お美津、そして、己之吉の運命は…?…」

 岡本綺堂「影を踏まれた女」に、「金持ちのお嬢様と使用人との恋」(こっちも元ネタがあるのか?)を絡めた作品です。
 内容は良くまとまっていて、個人的には、岡本綺堂の原作より、面白いと思います。
 ジャケットのイラストもいいですし、良作ではないでしょうか。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。後ろの見開きに貸本店の紙貼りつきとスタンプ押印。

2019年8月26日 ページ作成・執筆

東考社・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る