林ヨシノブ「ヤングパンチB SF特集号」(220円/1968年頃)



 収録作品

・「液体生物」
「田崎研究所の職員、轟は、ある塩水湖の調査を依頼される。
 この塩水湖には何故か強力な酸の作用があり、生物は一切住めなかった。
 同僚の富塚と谷と共に、塩水を調べると、濾過性のヴィ―ルスが混じっていることが判明する。
 轟達は特殊な実験装置を用いて、分離したヴィ―ルスとの会話に成功。
 ヴィ―ルスは三人に食料と塩、そして、知識を望み、どんどん成長していく。
 高度な知識を備えたヴィ―ルスを利用し、三人は科学技術コンサルタントを設立し、大成功する。
 だが、ある日、アメーバのように移動できるまでに進化したヴィ―ルスは三人に湖に返してくれるよう要求。
 その代わりに、ありふれた金属から黄金を作り出す方法を教えると提示する。
 金に目が眩んだ富塚とは対照的に、谷は液体生物に危機感を抱き、抹殺を検討。
 轟だけは液体生物と誠実に向き合おうとするのだが…」

・「虚空の遺産」
「発電機の故障により、未知の惑星に不時着したロケット。
 気密服の空気が残り少ない中、乗組員達はコイルの部品となる金属を探さなければならない。
 すると、金属探知機が氷の真下に大量の金属反応を示す。
 彼らが氷を溶かして、降下すると、そこにはドームで守られた都市があった。
 都市には生き物は住んでいない様子であったが、不定形の怪物が彼らの前に現れる。
 死の都市の秘密とは…?」

 当時としては、なかなか本格的なSF漫画です。
 SFは読書量が足りず、元ネタとなった作品ははっきりとはわかりませんが、レム「ソラリスの陽の下で」の影響はあるかもしれません。
 「液体生物」は、知能を持った未知の生命体に人間がどう対応するかを扱った意欲作で、更に、カルトホラー「フレッシュイーターズ」を彷彿させる描写もあって、非常に良い出来だと思います。
 「虚空の遺産」もオチが効いていて、悪くありません。(カラー版「トワイライト・ゾーン」で映像化されたハインライン(だったかな?)の短編の影響があるかもしれませんが、詳しいことはわかりません。)

・備考
 ビニールカバーの剥がし痕ひどし、また、ビニールカバーを再度、貼り付け。糸綴じあり。最終ページと遊び紙に裂けあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2018年5月7日 ページ作成・執筆

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