「怪談別冊 時代特集E」(発行年月日不明/150円)



 収録作品

・久磁晃「怪奇幻法帖」
「伊賀の忍者が三人、甲賀の陰虫によって騙し取られた伊賀幻法帖を取り戻すために旅立つ。
 ところが、伊賀の里の入り口にある忍者墓場の老人は、三人の墓を刻みつつあった。
 幻法帖を取り戻す際に、二人は死亡、残る一人が幻法帖を取り戻し、伊賀へと戻ってくるが…」

・白井豊「榴(ざくろ)」
「戦国時代。
 下克上の習いで、家臣の裏切りにより、城を奪われ、山奥深くに逃げ込む殿様とその部下。
 二人は野武士に殺された夫婦の死体と、その近くで、彼らの赤ん坊を見つける。
 頼る者のない者同士と、赤ん坊に榴丸と名づけ、山奥に建てた小屋で榴丸を育てるのだった。
 数年後、榴丸は元気な少年に育つが、殿の追及を諦めていなかった家臣の部下により、さらわれてしまう。
 榴丸の命を助けるため、殿は身一つで城を訪れる…」
 絵柄で判断する限り、白井豊先生は東田健二先生で間違いないだろうと思います。
 東田健二先生は文洋社のイメージが強いのですが、ひばり書房でも何冊か描いているみたいです。(一冊ほど、持ってます。)
 まあまあ、まとまった短編でありますが、怪奇ものとは言い難いです。

・鹿野はるお「山姥の呪」
「青年武士の岡部七三郎は、成人した暁に、亡父より「波の平行安」の一刀を姉より授かる。
 しかし、この刀は、彼の祖父が過去に山姥を斬り、その呪が宿ると言われているものであった。
 また、お寺の和尚からの警告もあったのだが、手放す訳にもいかず、しばらくしてその話は忘れてしまう。
 ある日、仕官の口を探しに外出しようとした折、急な腹痛でしゃがみこんでいる、旅の娘と出会う。
 七三郎は、彼女を家に連れて行き、介抱する。
 身寄りのない旅の娘はそのまま、彼の妻になるが、それから、彼の周囲で異変が起こり始める…」
 この本の中で、最も注目すべきが鹿野はるお先生の作品です。
 画力はなかなかのものでして、ひばり書房でかなりの作品を筆しております。
 が、(多分)ライバルであった島剛夕先生と違って、鹿野はるお先生は完全に歴史に埋もれてしまいました…。
 個人的には、クセのある絵、それも「鼻」が原因でなかったのでは?…と考えております。

・福田三省「鬼牡丹」
「幕末。
 倒幕論者の父と許婚のもとを去って、新撰組に入る青年。
 しかし、新撰組のやり方に次第に違和感を募らせいく。
 そして、彼が危機に陥ると、どこからか現われて、どことなく去っていく黒頭巾の正体とは…?」
「オール怪談・67」(ひばり書房)にて復刻。
「アンチ新撰組」のマンガって、あまり読んだことがありません。個人的に、新鮮でした。

 備考
 状態非常に悪し。カバー欠。糸綴じあり。pp53・54(白井作品)、下部にコマにかかる欠損あり。pp61・62(白井作品)、下部に大きな裂けあり。

平成26年11月13・15日 ページ作成・執筆

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