「怪談別冊 時代特集M」(150円)



 収録作品

・小島剛夕「蒼ざめた海」
「日清戦争の後頃。
 アメリカへの定期貨物船辰己丸の初航海の帰途でのこと。
 船内で「おこり」(マラリア等の伝染病)による死者が発生。
 彼を水葬礼にするが、彼は生きていると水夫長の老人が取り乱す。
 後で、船長は彼に理由を聞くと、老人は彼の過去を話し出すのだった。
 三十年前、まだ江戸時代だった頃、彼は江戸から九州への回航船の船長だった。
 ある航海の途中、船内で「おこり」にかかった者が出る。
 彼は病が他の人間に広がることを恐れ、病人を帆布に包み、生きたまま、海に投げ込んだのだった。
 それ以来、月夜の凪の夜には必ずその病人の姿を見るようになる…」
「オール怪談・76」(ひばり書房)にて再録。

・清水良「骸骨の靴」
「敗戦後、シベリアに抑留されていた男。
 同じく収容所にいる今村という男が彼に前線での不思議な話をする。
 彼は歩哨に立つたびに、骸骨そっくりの魔女に襲われていたという。
 その話をした後、今村は何かの影に怯え、かき消すように姿を消してしまう。
 帰国後、男は今村の娘と一緒に暮らすことになる。
 ある夜、男は娘のために赤い靴を買って帰るが、過去に付き合っていた愚連隊に乱暴され、靴箱を紛失。
 それを探していると、謎の老婆が靴箱を手渡してくれた。
 しかし、家に帰ると、靴の片方がない。
 訝っていると、忽然と娘の姿が消えていた…」

・福田三省「繰からくり」
「家老の命による、上様お成りのための客殿建設工事。
 しかし、幽霊騒ぎで起き、父親が工事責任者で源吾は独自に探りを入れる。
 そこには、家老による一大陰謀が図られていた…」

・鹿野はるお「死を予告する魔女」
 この作品に関しましては、大きな落丁がありまして、全部読めていませんので、内容解説を控えます。
 まあ、タイトル通りの作品みたいです。
 ちょこっと読んだ限りでは、この本の中で一番面白そうな感じです。
 鹿野はるお先生の初期(?)の作品らしく、女性キャラがビミョ〜な面(いい塩梅の「寄り目」)をしており、非常に味があります。

・備考
 ジャンク。カバーぼろぼろ。ホッチキスによる綴じあり。pp1〜10、本体より外れ。pp13・14、下部にコマにかかる裂けあり。pp37・38にページ半分裂けをテープで補修。大小の裂け、しみ、欠損、破れ数多くあり。pp137〜152(鹿野作品)落丁。

平成26年11月20日 ページ作成・執筆

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