「怪談・48」(1962年7月頃?/170円)



 収録作品

・いばら美喜「赤ん坊」
「安いアパートを探して、不動産屋巡りをする若夫婦。
 若夫婦の前に、老年の紳士が現れ、自分の家を借りてくれる人を探していると言う。
 その家に行くと、かなりの豪邸。しかも、家賃は無料。
 しかし、それには条件があり、それは赤ん坊を育てるということ。
 そして、その赤ん坊はその紳士だと言う。
 彼は、とある峠の頂上で、若返りの効能のある泉を発見したのだった…」
「怪談・91」にて再録。

・小島剛夕「めくら影」
「若くして琵琶の名手として知られる忍海(おくみ)の彦次郎は、時の上皇に奉奏に訪れた帰途、京の洛外、桂川のほとりの荒野に迷い込む。
 そこで、彼はみごとな琵琶の音を聞き、その音に導かれると、荒野にふさわしからぬ屋敷があった。
 屋敷で琵琶を弾くのは、美しき女性。
 彼女は心から愛した恋人を亡くし、浮世を捨てた女性だった。そして、彼女が弾いていたのは、その恋人の陰陽師が遺した曲だと言う。
 彦次郎は女性に請われ、その曲を習いに夜な夜な女性のもとを訪れる。
 が、彦次郎の師匠である、盲目の葛篭彦阿弥(つずらひこあや)は彦次郎の琵琶の音に異変を感じ取るのだった…」
 これまた「怪談・91」にて再録。目次の後のカラーの紹介ページを御覧になりたい方はそちらのページをどうぞ。

・北風三平「水の中」
「水泳でオリンピック候補とまでなった高校生。
 しかし、彼の家は貧しく、下宿先を追い出される瀬戸際。このままでは、高校も無事に卒業できそうにない。
 そこで、彼は水泳部の部長をしている、金持ちのボンボンに頼み込んで、部費を借り、生活費に当てる。
 が、学校で部費の使い込みが明らかになり、調査が始まる。一方、ボンボンは日頃の素行の悪さがたたり、家を勘当。
 青年は自分も使い込みの責任の一端を持たされるのではないかと怯えるが、ある夜、血みどろのボンボンが青年の家に使い込んだ金を持ってくる。
 ボンボンはチンピラと手を組んで、強盗を働き、金を作ったのだ。
 青年がボンボンの後をつけると、ボンボンは金を持ち逃げしたと、チンピラどもにプールで溺死させられていた。
 そして、そのプールは翌日、青年のオリンピック候補を賭けたレースが行われるプールだった…」

・落合二郎「汚れた手」(1962年6月制作)
「卑劣な裏切りにより、これまで親身になって世話をしてくれた兄貴分を失った青年。
 青年は、病をおして、兄貴分を殺した男へ復讐するために旅立つ。
 そんな彼の前に、兄貴分の亡霊が現れ、手を引くように諭すが、彼は聞き入れない…」

・備考
 カバー貼り付け。ホッチキスで綴じ。pp12・13の下部に米粒か何かが挟まれ、それがもとで破れ。pp87・88、中段の少し下に引っかき傷みたいなもの。シミ多し。

平成26年10月6・8・10日 ページ作成・執筆

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