「怪談・57」(1963年頃/170円)
収録作品
・浜慎二「スタンドがほの白く」
「ゲテモノな剥製や革製品を扱う店。
そこの店主と店員の男は刑務所で知り合った仲。
店主の老人は剥製や革を扱うだけでなく、刺青の腕もあった。
男は、胸にトカゲの刺青を入れてもらい、それが縁で店員として雇い入れてもらったのだった。
が、男は密かに老人の金を狙っていた。
ある日、土地購入の名目で銀行から一千万円の金が老人のもとに運ばれる。
それに目をつけた男は、仲間のゴロツキにアリバイ工作を依頼し、深夜、老人のもとに忍び込むが…」
タイトルを忘れましたが、ロアルド・ダールの短編と、悪名高きイルゼ・コッホ(ブッヘンバルト強制収容所のナチス女子親衛隊の監督)の混交です。
いばら美喜先生だったら、人の皮をバリバリ剥ぎまくるのでしょうが、そこは浜慎二先生、上品にまとめております。
・小島剛夕「嵐というらん」
「嵯峨野の秋。
相思相愛の女性がいながらも、家名のために他の女性との結婚を迫られている五郎。
思い悩むうちに、彼は林の奥深くに入り込んでしまう。
ふと気付くと、木の枝に美しい小袖がかけられており、近くの窪地では季節外れの桜の花が満開であった。
・満開の桜の花の下から、尼僧が現われ、彼を庵に誘う。
そして、尼僧より、窪地の狂い咲きをする桜についての話を聞かされるのだった。
昔、その窪地には邸があり、そこに眉目麗しく心優しい玉織姫という姫様がいた。
彼女は、婚礼の晴れ着を一人で真心を込めて縫い上げるが、春、婚礼の直前に、桜も、姫の幸せも急な嵐の前に散ってしまう…」
・北風一平「あやまち」
「受験勉強に嫌気がさして、悪友とツイストに出かける青年。
が、そこで喧嘩に巻き込まれ、殺人に発展。
逃げる途中、青年は頭を強く打ってしまう。
どうにか家に戻った青年だが、家族の姿が見当たらない。
見かけても、影のように薄く、声はしても、姿が見えない。
そこへ警官がやって来て、青年が喧嘩に巻き込まれて死んだと家族に告げる…」
・古賀しんさく「吸血蜘蛛」
「洋品店の裏の物置に放り込まれた、壊れたマネキン人形。
それに蜘蛛が入り込むと、マネキン人形に命が宿った。
服を手に入れ、普通の人間に紛れて生活する彼の食べ物は、蜘蛛。
しかし、蜘蛛を食べ続けるうちに、身体中が毛で覆われてしまう。
そんなある夜、彼は轢き逃げされた男を見つけ、その血を飲むと、その虜となってしまう。
彼は吸血鬼として夜な夜な人を襲うのだった…」
メチャクチャな話です。粗筋を読んでもワケがわからないと思いますが、実際、そんな内容です。
それにしても、謎なのは、この話が単行本で再録されていることです。
ちなみにカバーの女性は、ジェーン・クロフォードでしょうか?
個人的な推測で、根拠は何もありませんが…。
・備考
状態悪し。ビニールカバー貼り付け。前の見返しに紫のマジックによる落書きあり、また、それがpp1・2ににじんでいる。同じく、pp6・7(浜作品)にも紫のマジックによる落書きがあり、pp4・5・8・9ににじんでいる。後の見返しに貸出票貼り付け。
平成26年11月25日 ページ作成・執筆
平成27年1月1日 再びページ作成・執筆(うっかり文章を削除してしまった為)