「怪談・93」(220円)



 収録作品

・浜慎二「水の愛」
「毎秋に、とある山奥の《魔の沼》を訪れる青年。
 三年前、彼は地質学の研究のためにこの地を訪れた。
 その時、偶然に立ち寄った谷間の沼の水面に映る、美しい女性の姿に恋してしまったのだった。
 それ以来、秋になると、彼は休暇を取り、その間、沼の女性を眺めて過ごすのだった。
 冬になると、この地は雪に閉ざされ、沼は凍りに覆われてしまう。
 休暇の終りに、青年が沼の女性に暇(いとま)を告げると、水面から女性の姿が消えてしまう。
 そして、現実にその女性が現われる。
 青年は彼女を町に連れて帰るが…」
 現代版「ウンディーネ」。
 この作品で堪能して欲しいのは、浜慎二先生の女性キャラ。
 小島剛夕先生やいばら美喜先生の女性キャラに関しては、言及されることが多いと思いますが、「怪談」の屋台骨を支えた浜慎二先生を侮る勿れ!!
 少女キャラのイメージが強いのですが、浜慎二先生の女性キャラもかなりいいですよ。
 それから、浜慎二先生お得意の「据わった目」も他の追随を許しません。(右の画像を参照のこと)

・小島剛夕「月の壷坂寺」
「大和の国壷坂。初夏。
 盲目の沢市をこまめに世話する、庄屋の娘、お里。
 三年前、沢市は洪水に飲み込まれたお里を助け、泥水で目を潰してしまったのだった。
 それ以来、お里は自分の力で、沢市の目を治そうとする。
 しかし、お里には縁談の話があった。
 沢市はやくざ者からお里が他の男にうつつを抜かしていると聞き、僻み、お里に八つ当たりをする。
 が、実は、お里は沢市の目が治るように、毎夜、壷坂寺の観世音にお参りをしていたのであった。
 自分の心の醜さに苛まされる沢市。
 そして、満願の夜、二人で観世音をお参りするが、お里の将来を思い、沢市は崖から身を投げる…」
 おっさんになればなるほど、涙腺が緩みやすくなってきますが、こちらの涙腺をガンガン緩ませる話です。
 御都合主義と鼻で笑う方もあるでしょうが、「理屈じゃないんです!!」(by「刑事ハマー」)
 ちなみに、江戸時代でも、投身自殺にする際に、履物を脱いでいたんでしょうか?
 何かの本か記事で、実際は履物を脱がないという記述がありましたが…どうなんでしょう?

・岩井しげお「老いた根っ子達」
「とある養老院(老人ホーム)。
 強欲な院長の下、老人達は虐げられていた。
 ある日、一人の老人が、人の形をした根っ子を養老院に運んでくる。
 老人達は、その根っ子を神木として崇める。
 そして、百万円の賞金を賭けて、テレビのクイズ番組に根っ子を運んできた老人が出場する…」

・関すすむ「メーキャップ」
「とある医院に看護婦兼女中として住み込んだ、若い女性。
 そして、彼女が遭遇する恐ろしい出来事とは…?」
 唐沢俊一氏・編「カルトホラー漫画秘宝館 かえるの巻」にて復刻。
 下手な解説読むより、実物を見た方が早いです。

・備考
まあまあ状態いいです。カバー貼り付け。ビニールカバーを剥がした痕あり。糸綴じあり。後に貸本店のスタンプあり。

平成26年11月18日 ページ作成・執筆

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