「怪談・94」(220円)



 収録作品

・楳図かずお「蝶の墓」
「山で遭難した青年。
 彼は迷った挙句、崖から足を踏み外し、右手で握ったツタだけが唯一の命綱。
 いよいよ力尽き、意識が遠のく青年だが、気がつくと、見知らぬ山小屋の中にいた。
 そして、青年の側には、「お蝶」と名乗る、美しい少女がいた…」
 名作です。
 菊地秀行氏・「貸本怪談まんが傑作選 妖の巻」(立風書房)にて復刻。

・浜慎二「星だけ・知ってる」
「外国人の宝石商を殺害して、宝石を奪った三人組。
 計画通りのはずが、逃げる途中、花売りの少女に見られてしまう。
 目撃者である少女を殺そうと、三人組の一人の青年が少女に近づくが、少女は盲目だった。
 少女に情が移り、青年は少女を殺せない。
 それどころか、明後日が少女の誕生日と聞き、少女のためにプレゼントをしたいと考える。
 金をつくるため、宝石をこっそり一個売るが、そこから足がついてしまう…」
「オール怪談」(ひばり書房黒枠)にて再録。

・古賀新一「目のない顔」
「生まれついての奇形な顔の男。
 妹の縁談のため、何とか普通の顔になりたいと願う。
 そこへ整形手術専門の医師と名乗る男が現れ、顔の皮を取り替えることができるという。
 男は、中学校の頃の友人を殺し、医師のもとに運ぼうとするが、車がパンクしてしまい…」
「オール怪談・37」からの再録。

・小島剛夕「白鳥は悲しからずや」
「北国の秋が深まる頃。
 とある村の沼には、渡り鳥の白鳥が多く羽を休めていた。
 村の名主のもとに城下から療養に来ていた小市郎は、沼のほとりで美しい少女、ふゆに出会う。
 彼女と心を通わす小市郎だが、彼女は村で恐れられている山巫女の婆の娘だった。
 ふゆが鬼婆の娘かと考えつつ、沼のあたりを散策していると、うっかり底なし沼にはまってしまう。
 そこへ山巫女の婆が現われ、青年を助けてくれるが、ふゆに近づかないよう言う。
 山巫女の婆の不気味な姿に無我夢中で帰った小市郎は病を得て、それから沼には近づかなかった。
 病気が癒え、城下に戻ったものの、ふゆのことが忘れられない小市郎は、次の秋にまたその地を訪れる。
 しかし、領主の娘が神かくしにあったことにより、山巫女の婆の家は焼き討ちを受ける。
 ふゆの安否を確認しようと、病の身をおして小市郎は沼に向かう…」

 表紙に「史上最高編成!!」と書かれておりますが、その言葉に嘘偽りはございません。
 楳図かずお先生、小島剛夕先生、浜慎二先生、古賀新一先生の作品が(多分、再録ですが)収められており、読み応えがあります。
 楳図かずお先生のカラーページだけでも、そのスジの人達には垂涎ものかもしれません。
 が、そうそういいことばかりではないのでした(理由は「備考」をお読みください。)

・備考
状態悪し。ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。問題は浜慎二先生の作品以外、全て落書きがあること(扉絵、p6(楳図作品のカラーページ)、p11・18・19・26(楳図作品)、p72・76・87・88(古賀作品)、p106・108〜111・120〜123・126、p134、p136)。pp19・20の下部にコマに微少にかかる欠損あり。後の遊び紙に貸本屋のスタンプあり。

平成26年11月19日 ページ作成・執筆

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