小島剛夕「小袖葛の葉」(160円)
「承平年間(?)。河内の里。
おコンは信太の森に棲む女狐。
彼女の一族は稲荷大明神により通力を与えられており、人間に化けることができた。
ある日、彼女の祖母が狩りで矢を射られ、重傷を負う。
それを安部保名と葛の葉が助けてくれる。
葛の葉は天文陰陽学者の加茂保憲の養女で、安部保名は保憲の弟子、そして、二人はもうすぐ結婚する予定であった。
帰り道、葛の葉は足に草履ずれができる。
おコンは村娘に化けて、保名に薬草を渡し、お返しに彼はおコンに葛の葉のにおい袋をあげる。
彼女は保名を慕い、都に出てくるが、保名と葛の葉のつらい運命を知る。
その頃、日本各地で天災や混乱が頻発し、帝は病に臥せていた。
変事の原因を知り、帝の病を祓うには、唐土の五行山に住む白道仙人より金烏玉兎集なる陰陽の秘巻を譲り受ける必要があり、保名は結婚を目前にして、朝史として唐土に向かわねばならなくなったのである。
保名が旅立って後、葛の葉は夜ごとの寒参りを欠かさない。
しかし、無理が祟って、すっかりやせ細り、医者にも見放されるが、葛の葉に代わり、おコンが寒参りを続ける。
その甲斐あり、保名は雪山での難を逃れ、どうにか五行山に到達し、白道仙人より秘巻を授かる。
だが、白道仙人より葛の葉の命が風前の灯火と知らされ、彼は急いで帰国するも、僅差で葛葉は亡くなる。
そのショックで保名は発狂し、斑鳩の里を葛の葉を求めてさまよう。
おコンは自分のしたことが仇になったと後悔するのだが…」
巻末の読者コーナーによると、「恋や恋なすな恋」(1962年/東映京都)の後に描かれた模様です。
と言っても、安直なコミカライズではなく、読者の期待に応えるべく「ファイトをもやして映画に挑戦してみました」と書かれてあるので、小島剛夕先生、なかなかガッツがあります。
内容は「異類婚姻譚」で、小島剛夕先生らしくドラマチックでありながらも繊細なロマンを堪能できます。
また、葛の葉は歌舞伎の題材にもなっているようで、途中、唐突に保名が踊り出すシーンがあったりして、小島先生の古典芸能への思い入れを感じさせます。
個人的には、小島剛夕先生の筆による狐女の描写がなかなかインパクトありました。(こういうヘンテコな描写は小島先生には珍しいように思います。)
あと、狂った保名の目つき(p87)はヤバ過ぎです。見つめていると、頭がクラクラしてきます。
・備考
カバー貼り付け。袖が剥がされ、剥がし痕あり。糸綴じあり。小口研磨。後ろの読者コーナーや広告の女性の唇に赤く着色。
2024年11月3日 ページ作成・執筆