楳図かずお「怪@」(1972年10月15日初版・1976年7月20日15版発行)
収録作品
・「青い火の怪」
「尾上むつみと谷川俊彦は人もうらやむカップル。
ある日、俊彦に迫られた際に、むつみは崖から転落、後頭部を強打する。
怪我は大したことはなかったが、その時以来、むつみに奇妙なことが起こる。
それは、斜め後ろを振り向くと、人の頭上に青い炎を見えるというものであった。
青い炎はその人の生命状況を現わしており、火が消えそうになると、その人の寿命も尽きてしまう。
むつきは悩むが、俊彦から心の支えを得て、二人の仲は以前の通り、睦まじくなる。
だが、学校の遠足に行った日以来、彼の態度が豹変、むつきのことを避けるようになる。
放課後、むつきが彼の後をつけると、白装束の、美しい少女と会っていた。
少女は俊彦に明日、午後三時発のあるバスに乗れば、二人は一緒になれると話す。
癖になっていたのか、むつきが肩越しに少女を見ると、彼女の頭上には…」
珍しく、影響を受けた作品について、作中で採り上げております。
その作品は、べレスフォード「人間嫌い」(作中では「ベストフォード」の「人間ぎらい」/「怪奇小説傑作集A」(創元推理文庫)収録)。
「人間嫌い」は「魔性の目」(「恐怖A」収録)にも影響を与えていると思います。
あと、この作品は、後年、菊川近子先生の「いのちの火が見える」の元ネタでありましょう。
・「四年目の怪」
「夏川みどりには四年ごとに素晴らしいことが起きる。
みどりは、非常に貧しい家に産まれた上に、身体が弱く、皆からバカにされてばかりいた。
しかし、彼女が四歳の頃、急に身体が丈夫になり、父親は仕事を得て、一転、家は裕福になる。
特に変わったこののないまま、四年が過ぎた頃、今度はみどりの才能が大開花。
勉強でもスポーツでも大活躍し、学校の人気者となる。
と、こんな風に四年ごとに幸運に恵まれていたのだが、十六歳の彼女に起きる「奇跡」とは…?」
・「人こぶの怪」
「家の事情により、親戚の家に身を寄せることになった優子。
その家の、いとこのアグリは奇妙な少女であった。
彼女の頬には醜いこぶがあり、そのために、性格は陰気で屈折していた。
アグリは美しい優子に嫉妬し、優子に自分のこぶを移そうと執念を燃やす。
遂には、優子にこぶをナイフで切り取るよう強制し、切り取ったこぶを彼女の頬に押し付けて、高笑いするのであった。
しかし、こぶを切り取った痕が次第に変化していき、アグリは部屋に閉じこもるようになる。
彼女の部屋から聞こえる笑い声の主とは…?」
ラスト、加筆があるように思います。
ハッピーエンドですが、オリジナルがどのような結末を迎えたのか、謎です。
2018年1月31日 ページ作成・執筆
2018年2月5日 加筆訂正