好美のぼる「奇形児/蟇少女」(2021年8月15日発行)

 収録作品

・「奇形児」(原やすみ・名義/曙出版)
「博子は、母親が出産間近で、もうすぐお姉さんになるので大はしゃぎ。
 しかし、母親の出産は異常に長引き、一週間…数か月経っても産まれない。
 それどころか、博子の右腕が徐々に短くなっていく。
 病院で検査しても、原因はわからず、次は左腕、その次は、片足と短くなっていく。
 半年後には、博子は芋虫のようになり発狂。
 夜、博子は、手足を求めて、墓場へ這っていく。
 その頃、手術によって、ようやく赤ん坊が産まれるのだが…」

・「蟇少女」(曙出版)
「千葉県にある因幡沼。
 その沼の近くに一軒のあばら家があり、父を亡くした母子が住んでいた。
 娘のあやめは心優しい少女で、自分のご飯を残しては、沼のガマに与える。
 だが、父親の借金のため、一家は危機に瀕していた。
 金を貸した網元の黒甚は、借金のかたに、あやめを連れて行こうと考えていた。
 あやめは、行方不明になった金持ちの娘に似ており、それで一儲けしようとしていたのである。
 母が金策に出かけている間、あやめは漁に出る。
 すると、ガマ達は船の中に宝石のような石を投げ入れ、更に、魚が獲れる漁場にあやめを連れて行く。
 この時、投げ入れられた石は「蛙石(かわずいし)」という大変貴重なものであった。
 蛙石に目を付けた網元の一味によって母子は思わぬ不幸に見舞われることとなる…」

 大問題作「奇形児」と「蟇少女」のカップリングです。
 「奇形児」は「ua!ライブラリー」のよる復刻もありますが、こちらはカラーページもあり、原書に近いのではないでしょうか。
 「蟇少女」は民話風の趣があって、こちらの方が私の好みでした。
 好美のぼる風着物少女をフィーチャーしており、うら寂しい雰囲気が陰惨なストーリーとマッチしております。
 あと、付属のペーパーには、まんだらけ中野店の岩井道氏「見てください、この「奇形児」を!」、まんだらけ中野店の萩原亜蘭氏「「蟇少女」の切ないストーリーに隠された本当の恐ろしさ」、そして、更に充実した「好美のぼる貸本漫画リスト」(凄い、凄過ぎる!!)が掲載されております。

2021年9月25・26日 ページ作成・執筆

アンソロジー/復刻作品・リストに戻る

メインページに戻る