曽祢まさこ「幽霊がり」(1975年11月5日第1刷・1986年6月13日第39刷発行)
収録作品
・「幽霊がり ダニエル」(「なかよし」昭和49年8月増刊号掲載)
「北イングランド、カーライルの旧家、ウッドワーズ家。
長男のアーサーが五歳の時、父親が病死。
その三か月後に、次男のダニエルが産まれる。
ダニエルは産まれつき盲目であったが、人の未来を視る、不思議な力が備わっていた。
如何なる動物もダニエルに決してなつくことはなく、村人達は「のろわれた悪魔の血」と忌み嫌う。
母親が病死以後、ダニエルは村から離れたリーズ盲学院へと行く。
アーサーも村を出て、寄宿制の中学校に入学し、休暇には二人、カンバーランドの別荘で過ごす。
ダニエルはその超能力故に幾度も孤独や悲哀を味わいながらも、時は流れる。
ダニエルが十六歳の時、大学の入学資格まで持ちながら、彼はカンバーランドの別荘に隠遁する。
夏の休暇の際、カンバーランドの別荘に、スタンリーとクラリサのカップルが訪れる。
彼らは、エジンバラ大学に通うアーサーの親友であり、近々、結婚する仲であった。
だが、ダニエルはクラリサに「血のこおるような不安と絶望」を感じ、スタンリーを不幸にするとアーサーに告げる。
九月、クラリサは交通事故で急死してしまい、スタンリーは悲嘆と絶望に暮れ、生活は荒れる一方。
そんな彼の前に、クラリサの亡霊が現れ、彼を黄泉へと誘う。
スタンリーの異変に気付いたアーサーはダニエルに助けを求めるのだが…」
・「幽霊がり マリアンヌ」(「別冊なかよし」昭和50年第3号掲載)
「別荘近くの湖で、ダニエルはマリアンヌという少女と出会う。
彼女は、フランス人の父と共に、母方の祖母の農場に滞在していた。
異国で半年前に病死した、彼女の母はこの地の出身であり、マリアンヌは湖の畔で母親の追憶に浸る。
そして、彼女は湖に白いバラを流し、この湖では、彼女の母の恋人が亡くなったのだとダニエルに語る。
その日以来、夜ごと、マリアンヌはローズマリーと呼ぶ声を聞くようになる。
ローズマリーは彼女の母の名であり、祖母の話からマリアンヌは母にエドワードという弟がいたことを知る。
湖からマリアンヌを呼ぶ者の正体は…?
ダニエルはマリアンヌを救おうとするのだが…」
・「ブローニイ家の悲劇」(「なかよし」昭和50年6月号掲載)
「サセックスの旧家、ブローニイ家。
ある日、五歳の長男、ロバートは、入ることを禁じられている森に入る。
森の奥には、小さな石造りの家があり、ベランダでは少女が静かに涙を流していた。
彼女はブローニイ家の人は顔も見たくないと、ロバートを追い返す。
だが、道に迷ったロバートを少女は助け、ロバートは友達になろうと彼女に話す。
ロバートは帰宅後、母に森の少女のことを話すと、母親は顔色を変える。
以来、ロバートがいくら森の家に行っても、そのにあの少女の姿を見ることはなかった。
時は流れ、ロバートが12歳の夏、商用から帰って来た父親が一人の少女を家に連れてくる。
彼女の名はリスベット=ブラウンといい、父親の知人が旅行の間、預かったのであった。
その少女は七年前にロバートが森の家で出会った少女とそっくりであった。
リスベットの正体とは…?
言い伝えの通りに、ブローニイ家の悲劇が繰り返されるのであろうか…?」
オカルト・マンガの傑作の一つ、「幽霊がり」ですが、「なかよしコミックス」はページの都合上、三作のうち、二作しか収録されておりません。
2000年にポケット講談社こみっくすから「幽霊狩り」のタイトルで出たものが、完全版です。
また、「幽霊狩り」には続編がありまして、その続編までも併せたものが講談社漫画文庫で出ております。
2017年8月15日 ページ作成・執筆