楳図かずお・他「花R スリラー特集号」(220円)
・「木の肌花よめ」(1966年「別冊少女フレンド」掲載)
「黒部家のあや姫は美しく、そろそろお嫁に行くお年頃。
だが、良縁と思われた縁談がまとまった頃から、あや姫に異変が起こる。
彼女の両手の両腕は、まるで木の皮のように変化して、彼女は臥せるようになる。
そのため、婚約は破談し、また、その噂は町中に広まってしまう。
ただ一人、水上という侍は、あや姫を嫁にくれるよう毎日訪れ、彼女の病気も意に介さない。
両親は彼のもとにあや姫をやることにするが、その時から、彼の身に度々危険が起こる。
彼は、この家にあや姫を置いていてはよくないと考え、姫を彼の家に連れて行こうとする。
しかし、彼女を迎えに来た日、病気はあや姫の全身に広がり、姫は水上に襲いかかる。
あや姫に害をなすものの正体とは…?」
雑誌に発表されたものを再掲載したのでありましょう。
「木の肌花よめ」(朝日ソノラマ)にて読むことができます。
・川崎三枝子「面」
「千栄子と亜紀子の姉妹は、東京から、幸二の田舎を訪れる。
幸二は千栄子の級友であり、彼の実家は長い歴史のある武家屋敷であった。
屋敷には、彼の祖父母が住んでいたが、祖父は、家宝の面を研究しているうちに発狂していた。
その家宝の面の話を聞き、千栄子はある計画を思いつく。
彼女は幸二に惹かれていたが、彼は妹の亜紀子に想いを寄せていた。
そこで、どうにか妹を脅かして、屋敷から退散させようと考えたのである。
夜更け、千栄子は物置でその面を見つけ、早速顔に付けてみる。
だが、面は顔から取れなくなり、更に、興奮した祖父に日本刀を片手に追われることとなる。
その面にまつわる、血生臭い過去とは…」
・大月みち子「赤い竹」
「町はずれの古い屋敷。
そこに入り込んだ者は二度と出ることはないという噂があった。
ある夏の日、一人の少女が、にわか雨にあい、屋敷の門で雨宿りをする。
すると、着物姿の娘が少女に、中に入って休むよう勧める。
娘の勧めに従い、少女は屋敷に入り、風呂までわかしてもらう。
少女が風呂場から何気なく外を覗くと、庭に一本、真っ赤な色をした竹があった。
風呂上がり、少女が娘に赤い竹のことを聞くと、娘は、一人の悲しい女の呪いがかかっていると答える。
この呪われた竹が真っ赤な理由とは…?」
どれも面白い、粒よりの作品集です。
個人的なヒットは、川崎三枝子先生の初期の怪奇短編「面」。
川崎三枝子先生は「怪奇もの」と非常に相性がよく、幾つか名品を描かれておりますが、初期からいい仕事をしていることに感銘を受けました。
また、名画「鬼婆」とともに、(私の勘違いかもしれませんが、)楳図かずお先生から内容・絵ともども、多大な影響を受けているのではないでしょうか?
お二人の間に、何らかの交流はあったのかどうか…謎です。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。背表紙痛みと色褪せあり。糸綴じあり。前半下部に水濡れの痕あり。後ろの見開きに貸出票の剥がし痕、貸本店のスタンプ押印、赤ボールペンでの落書きあり。