泉道亜紀「病棟少年@」(2021年12月29日初版第1刷発行)
病棟に現れる、身体中に包帯を巻いた車椅子の少年。
彼の身体は足りないところだらけで、人に身体の一部をくれるよう頼む。
その代わりに、どんな願いでも叶えてくれるのだが…。
・「第1話」(「ちゃおデラックス」ホラー2020年9月号増刊)
「江崎八恵は漫画家志望の女の子。
彼女の努力が実り、雑誌の賞を受賞したのに加え、デビューに向けて出版社の担当がつくこととなる。
しかし、彼女の母親は不治の病で、ずっと入院中であった。
母親は八恵を応援してくれるものの、八恵は漫画家をあきらめ、母親の看病に専念すべきではないかと悩む。
そんな時、彼女は病棟少年と出会う。
彼は彼女の右手を欲しがるのだが…」
・「第2話」(「ちゃおデラックス」ホラー2021年1月号増刊)
「野崎恵那は母子家庭。
父親は物心ついた時には家を出ており、暴力的な母親に育てられる。
しかも、受験シーズンが近づき、進学校に恵那を進ませるべく、母親の暴力はますますヒートアップし、恵那はつらい日々を送っていた。
ある日、彼女は母親から受けた傷のために病院を訪れ、病棟少年と出会う。
彼は彼女の片方の目を欲しがり、さすがに断るものの、受験に合格したら母親の虐待が止まるかも…と考えると、心は揺らぐ。
そんな時、クラスでのいじめ等、つらいことが重なり、彼女はある決心をする。
彼女が目と引き換えに望んだこととは…?」
・「第3話」(「ちゃお」2021年8月号別冊ふろく)
「高校一年生の真里恵は陸上少女。
夏休みを控えた七月に右足を怪我し、夏休みには秋田に帰省する。
秋田の実家には真里恵の大好きな祖母がいた。
祖母はポジティブな性格で、いつも真里恵を励ましてくれる。
しかし、祖母は心臓に病気を抱えており、もう長くはなかった。
祖母が倒れたため、真里恵は病院に行き、そこで病棟少年と出会う。
彼は彼女の左足を欲しがっていた。
真里恵の選択は…?」
・「第4話」(「ちゃおデラックス」2021年9月号)
「美沙は勉強熱心な高校生。
夏のある日、父親に車で図書館に連れて行ってもらう。
その途中、小さな女の子が道路にとび出し、父親の車ははねてしまう。
女の子は意識不明の重体で、今度、目を覚ますことはないかもしれない。
莫大な額の治療費や慰謝料、美沙の家族への嫌がらせ、被害者家族の怒り…次々と美沙の家族に降りかかって来るものの、彼女にはどうすることもできない。
ただ、病棟少年に彼女の脳をあげれば、どんな願いでも叶えてくれるというのだが…」
・「第5話」(「ちゃおデラックス」2021年11月号)
「相馬美優は無口で地味な女の子。
彼女の夢は声優であったが、ある日、同じ夢を持つ少女と知り合う。
その少女は学校一の美女の川上エミリで、一緒に頑張ろうと言われ、友達になる。
二人は同じ夢に向かって頑張るが、美優は徐々にエミリに劣等感を抱くようになる。
そんなある日、彼女は喉に痛みを感じる。
病院での検査の結果は悪性の腫瘍で、最悪、声を出すことができなくなる。
そんな時、彼女は病棟少年に出会い…」
・「病棟少年 制作秘話」(描きおろし)
稲垣美佐緒先生の傑作「猟奇伝説アルカード」の影響下にある作品ではないでしょうか?
「アルカード」はブラック・ユーモアな味付けと皮肉の効いたオチが魅力ですが、「病棟少年」はハートウォーミングな結末で心に迫ります。
地味に良い話が多く、これはこれでありでしょう。
2024年12月11・12日 ページ作成・執筆