望月みさお「母子ゆうれい」(220円)
「静岡県沼津市の田舎で本当にあったお話。
ある夏の日、臨海学校で小松かな子という少女が溺死する。
その頃、友人達と山に登っていた、かな子の母は胸騒ぎを覚え、山を降りる最中に崖から転落する。
かな子とその母の幽霊は互いに捜し求めるが、すれ違いばかりで、どうしても出会えない。
混乱したままの二人の霊は、自分の母親や娘に似ている人物に憑りついては、次々と死に追いやっていく…」
個人的に、傑作だと思います。
この作品のポイントは「人間には幽霊が視えるのに、幽霊同士だと相手が視えない」点。(説明は全くありません。)
いろいろな怪奇マンガを読んできましたが、こういう設定は初めて、目にしました。
んで、自分の肉親に似た人物を片端から憑り殺していくという展開に開いた口がふさがりません。(犠牲者はかなりの数に上るようです。)
理屈云々でなく、突飛な発想を楽しむ作品だと思います。
あと、この作品には幽霊を診察するシーンがあります。(ゾンビを診察する「バタリアン」より二十年は早い!!)
オカマっぽい仕草で苦悩する医者の描写がムダにユーモラス。
画像を掲載しておりませんが、次のページでは、生身の母親の手を握った後、「あたたかかったわい」とくねくねする、キモかわいい描写があります。
ウケを狙っているとしか思えない…。
「UA!ライブラリー」にて、「霊媒尼さん」とカップリングで復刻されております。
カットされまくりで、お勧めはできませんが、おかまっぽい医者のページはしっかり収録されておりますので、それだけでも入手する価値はある…かな…?
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2018年12月2日 ページ作成・執筆
2021年6月7日 加筆訂正