「怪談・98」(220円)



 収録作品

・浜慎二「地獄か?」
「逃亡中の殺人犯、西田。
 幾多の捜査網をかいくぐりながらも、ある夜、遂に袋小路に追い詰められる。
 だが、突如、彼の身体は、塀を通り抜け、奇妙な空間に迷い込む。
 幅十センチの壁の中には異空間が広がり、同じく迷い込んだ一匹の子犬と、白骨死体があった。
 西田は現実世界への出入り口を探り当てるが、出入り口は普通の壁と全く変わらない。
 西田は、子犬を捜しに来た少年に、異空間への入り口近くに落書きをさせ、それを目印とする。
 こうして、彼はほとぼりが冷めるまで、そこを隠れ家にすることに決めるのだが…」

・「白い女の子」
「外で一切遊ばず、人形作りが得意な女の子。
 少女は、亡くなった母親の再婚相手に度々暴力を振るわれる。
 見かねた家政婦は、中学校の教師にそのことを報告する。
 教師がその家を訪れると、父親は少女を警戒していた。
 どうも彼は少女の人形をひどく恐れているようなのだが…」
 「怪談・72」からの再録です。(カラーのタイトル表紙をご覧になりたい方はそちらにどうぞ。)  元ネタは、ロバート・ブロックの名編「子供にはお菓子を」。(詳しいことは「怪談・71」を参照のこと)
 原作と較べ、結末をかなりマイルドにしており、パンチが弱いように思います。
 あと、作中に出てくる教師のモデルは、古賀新一先生と推測しております。

・小島剛夕「なにわ物語 雪の法善寺」
「自分の容貌に過度なまでのコンプレックスを持つお春。
 彼女は、家の使用人の清吉に想いを寄せるが、自分の気持ちに素直になることも、彼の想いを受け止めることもできない。
 そこで、彼女は法善寺の水かけ不動尊に、美しくなるよう、二十一日の願かけをする。
 自分の恋を捨てることを引き換えに…」
 「怪談・55」からの再録。
 タイトルページをご覧になりたい方はそちらのページにどうぞ。

・「死体を消せ!」
「密室での連続殺人事件。
 狙われるのは、ガス会社や石油会社の社長といった大物ばかり。
 犯人は、十年前に水を燃料に変える発明をして殺された敷島博士の息子であった。
 息子は超能力者で、その能力を使って、次々と父親の復讐を果たす。
 そして、復讐相手が残すところ、一人となった時、探偵の広小路豪が彼の前に立ちはだかる…」
 石ノ森章太郎先生の「サイボーグ009」の影響でも受けたのでありましょうか?
 杉戸光史先生には「SF」を取り入れた意欲作が幾つかありますが、今読んだら、どれも「ビミョ〜」な出来だったりします。
 この作品も超能力を安直に使い過ぎで、ミステリーとしては破綻してます。
 「赤目のたたり」(ひばり書房・黒枠)にて再録されております。

 扉絵と、浜慎二先生の「地獄か?」が、「オール怪談・50」からの再録です。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛みひどし、かつ、補修あり。鉄鋲での綴じあり。前の遊び紙、半分欠損。pp66・67、食べカスが挟まり、シミ。後ろの遊び紙に痛み、かつ、貸出票の剥がし痕とスタンプ押印あり。

2017年10月16・17日 ページ作成・執筆
2018年5月23日 加筆訂正

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