古賀新一「エコエコアザラクE」
(1977年3月15日初版・1979年7月20日12版発行)
・「やはりおれはダメ男」
「二十歳になっても、母親に「ぼうや」と呼ばれ、母親なしではなにもできない男。
母親の病気を機に、彼は独り立ちするよう母親に叱咤され、東京へと出る。
一月経っても、仕事が見つからず、空きっ腹を抱えているところ、彼は黒井ミサと出会う。
ミサは彼に盗みを唆し、彼は旅館に泊まって、寝込んだ客の財布を盗る。
これが予想以上に上手くいって、大金を手に入れた彼は、有頂天になって、遊びまくり。
だが、財布を盗った客が殺されたと新聞に出ていて…」
・「檻の中の男」
「黒井ミサが魔女であることをスクープしようと目論むトップ屋。
彼は、ミサが公園でボーイフレンドと一緒にいるところに車で突っ込む。
更に、ミサの服を剥ぎ取り、彼女の身体にある、魔女のマークをカメラに収める。
すると、晴天に稲光が走り、サバト(魔女集会)の光景が眼前に現出。
これも写真に撮り、車へと戻るのだが…」
・「ノイローゼ」
「火事にあったことから火事を極端に恐れるようになった大西。
彼は、自分の父親が勤める会社のビルの写真を見て、ビルが火事だと騒ぎ始める。
父親を助けに行くと、彼はとび出していって、やがて、全身やけどで病院へ運ばれる。
彼は父親を助けたと言うが、そのビルは火事を起こした様子など全くなく…」
・「魔法の水着」
「黒井ミサは、泥沼プロダクションの泥沼万吉という男にスカウトされる。
ミサは大スターになれると唆され、この男にひょいひょい付いて行くが、そのスタジオでムリヤリ、ヌード写真を撮られてしまう。
たまたま家に来ていた祖母は、その話を聞いて、激怒。
祖母は「若さと美しさの魔力を持つ女悪魔ブラック・エンゼル」の水着を付けて、復讐に乗り出すのだが…」
・「山びこ魔術」
「中学教師の村田は、教え子の黒井ミサに、寝込んでしまう程、惚れ込む。
そこに、当のミサが見舞いにやってきて、彼に魔術の本を貸す。
幾つか呪文を試してみて、彼はこの本が本物だと確信。
黒井ミサを独り占めにすべく、彼は山に登って、村の男をばけものに変える呪文を唱えるのだが…」
・「新種サル人間」
「ちんけなこそ泥の男。
ある日、彼はキーの付いたままの車を目にして、その車を盗み出す。
だが、車のバックシートに赤ん坊がいた。
始末に困った彼は、赤ん坊を公園のベンチに捨てに行く。
これで一安心かと思いきや、数日後、赤ん坊が家に戻ってくる。
赤ん坊は、サルと人間の相の子のようで、彼は赤ん坊が「新種の生き物」ではないかと考える。
一儲けするチャンスだと、彼は、この子の親を探すために、黒井ミサに占ってもらうのだが…」
・「ゾッと寒気がする話」
「黒井ミサは「喫茶ミサ」を開店。
この店は元、一家心中のあった場所で、クーラーの中には首吊り死体が残っていて、寒気充分…というのは冗談で、その死体はミサの作った人形であった。
その人形を目にして、お化け屋敷の経営者が、ミサに凄い人形を作ってくれと懇願する。
お化け屋敷は赤字続きで、人形を入れ替えて、客を呼び戻したいらしい。
と言われても、ミサは中学生で、宿題に忙しく、その頼みを断る。
だが、クラスメートの勧めもあり、ミサはそのお化け屋敷を参考までに見に行くのだが…」
・「パンダの毛皮」
「醜い容貌がコンプレックスで、陰気になった小川。
彼女は少年の頃から、かおるという少女を愛するが、彼女に対して近づく勇気さえない。
かおるは彼の想いに気付き、散々いじめるが、それさえも彼にとっては、彼女との繋がりであって、幸せに思う。
大人になり、彼は、彼女の家の運転手として雇われる。
同窓会の時、彼女は彼に「パンダの毛皮」を手に入れたら、恋人になってあげると宣言。
彼は、絶好のチャンスとばかり、中国へと行き、パンダの毛皮を手に入れるのだが…」
・「よみがえった老婆」
「河村は、農業大学の学生で、農業が大好き。
ミサの祖父母の家に養子に来るという話が持ち上がり、彼は田舎へとやって来る。
早速、彼は梨の木の手入れを始めると、その林の中に老婆が倒れていた。
その老婆は大金持ちで、豪邸に一人で住む身。
親切のお礼に老婆は彼に全財産を譲ると約束する。
欲に目がくらんだ彼は、老婆の死期を早めるために、少しずつ農薬を飲ませるのだが…」
・「縁談は整形手術で」
「ある美人教師は、その美しさにも関わらず、縁談が断られ続ける。
その理由は、彼女の父親で、その醜さに相手は二の足を踏むのであった。
今度こそ縁談をまとめたいと、父親は黒井ミサに相談する。
ミサは彼に魔法医学の研究書に案内し、そこの医者は、死体の顔の皮さえあればいつでも手術すると話す。
夜更け、彼は、女房と一緒に墓場に出かけ、埋葬されて間のない若者の死体を掘り出す。
だが、帰ろうとする時、車が故障して…」
ちょこっと考察。
・「ノイローゼ」→同タイトルの作品が「怪談・62」にあり、そのリメイクです。
・「ゾッとする寒気がする話」→「クーラーの中に死体」は「寒気する」(「怪談・77」)にて扱われております。
・「よみがえった老婆」→元ネタは、ヘンリイ・スレッサー「親切なウェイトレス」。「ヒッチコック劇場」で観たのでしょう。「ついに殺った」(「怪談・100」)のリメイクです。
・「縁談は整形手術で」→古賀しんさく・名義の「目のない顔」(「オール怪談・37」)のリメイクです。
2020年8月19日 ページ作成・執筆
2021年5月12日 加筆訂正