古賀新一「エコエコアザラクP」(1979年6月20日初版発行)

・「鎧が歩く」
「ミサとクラスメート達は、幽霊屋敷と噂される西洋館に行ってみる。
 そこは、十年間、人の住んでおらず、血を滴らせた、首のない鎧が部屋をさまようと言われていた。
 信じようとしないミサに、クラスメートは、五年前、鎧の幽霊に女子中学生が絞殺されたと教える。
 にも関わらず、ミサは、鎧のある部屋の方にずんずん進んでいく。
 その部屋には鎧が十体あり、うち一つの頭が何もしないのに落ちる。
 クラスメート達は皆、逃げてしまうが、その騒ぎの間に、鎧の一体が姿を消し…」

・「明日へのはばたき」
「妻の死後、挫折続きの元・スター、東秀樹。
 借金で首が回らなくなり、彼は、幼い娘の美千子と心中するため、山中の旅館を訪れる。
 だが、そこで、彼は、風間組の幹部の男性と間違えられる。
 その男性は翌日、麻薬の取引をするらしい。
 東秀樹は、別の組の男達から、その幹部を殺すから、彼の代わりに麻薬を受け取るよう頼まれる。
 その報酬で彼はカムバックできると浮かれるが、彼はふとしたことから、幹部の男性を助けてしまい…」

・「涙のご対面」
「スリをして捕まった青年。
 話の家庭環境は非常に特殊なものであった。
 彼は幼い頃、誘拐され、誘拐犯人に育てられてきたという。
 誘拐犯人は今わの際に、彼の本当の両親のことを彼に告げる。
 青年の両親は東京の深川に住んでおり、蛭池という名前らしい。
 そこで、彼は上京して、実の両親を捜すものの、金が尽き、犯罪に手を染めたのであった。
 彼の話を聞き、彼はテレビの「涙のご対面」という番組に出ることとなる。
 彼の両親を捜すものの、蛭池という人物を誰も知らないし、肝心の誘拐事件が新聞に載ってない。
 かつがれたと思った時、ミサが現れ、使い魔で人探しをするというのだが…」

・「現代釣天井」
「ヤクザあがりの教師、戸川は、持ち物検査と称しては、生徒の持ち物を横取りしていた。
 お小遣いを取られたミサは、教室の天井にぶら下がっている鎖のヒモを引っぱると、床の一部が開く仕組みを利用して、仕返しを考える。
 翌日、戸川の授業の際、ミサは拳銃を出して、戸川を脅迫、給料袋を奪い取る。
 戸川を黒板の方に向いている間に、ミサは、床の穴に拳銃と給料袋を放り込む。
 銃声を聞き、校長と教頭が駆けつけてくるのだが…」

・「機械マニアの男」
「ミサと友人の戸田は、ハイキングの途中、急な雨に見舞われる。
 目にした豪邸に雨宿りに行くと、そこは人間嫌いの男性が一人で住んでいた。
 その屋敷には妻も女中もおらず、彼の世話は全て、機械によってまかなわれる。
 しかし、「ゆきとどいた生活」には意外な落とし穴があった…」

・「ジローの好物」
「ミサは、隣の家の犬が骨をかじる音が気になって仕方がない。
 隣の家に住む女性にこのことを言うと、この犬は人間以上に贅沢なのだという。
 彼女は、子供がいないせいもあり、犬を溺愛していた。
 しかし、主人の方は、犬が大嫌いで、犬に嫉妬し、意地悪ばかりする。
 これが原因で二人は喧嘩し、主人は一週間前に家出してしまう。
 その後、彼の車が事故にあったことが判明するが、彼の姿はどこにも見当たらず…」

・「怪奇画を売る女」
「良一は、街頭でミサが売る奇怪な絵を買う。
 彼の目的は、臆病なおじに、奇怪な絵を見せ、ノイローゼに追い込み、最終的にはショック死させることであった。
 計画はとんとん拍子に進み、あと一息というところまで来る。
 その時、彼のもとにミサがやって来て、ショック死確実の絵を買ってほしいと言うのだが…」

・「奇術師の賭け」
「地位も金もなく、病身の奇術師。
 彼は、ミサから警告を受け、妻が彼を殺そうとしていることに思い当たる。
 実際、妻は、ばあやと共謀して、彼の薬に少量ずつ毒を盛っており、一週間後、彼は死亡。
 だが、これは彼にとって、一世一代の大きな賭けであった…」

・「コメディー・シリーズ そのB 教育とは耐えること!?」
「家庭訪問の日。
 ミサは、学校でいたずらばかりで、教師に何を言われるかわかったものでない。
 そこで、魔法を使って、教師が家に入るのを妨害する。
 妨害にもめげず、教師は家に入り込み、ミサの母親と面談するのだが…」

・「バスは地獄の一丁目行き」
「ある会社が開発した、事故防止の安全車。
 展示会の際、その安全性を証明するために、アル中の男性にバスを運転してもらうことになる。
 彼にしこたま酒を飲ませた後、運転席に座らして、さあ、出発。
 運転手は泥酔して、運転なんかできるわけなにのに、コンピューター制御により、バスはすいすいと走行する。
 だが、いつの間にか、バスは奇妙な世界に入り込み…」

 ちょびっと考察。
・「明日へのはばたき」→古賀しんさく・名義「長びく死」(「怪談・71」)のリメイク。
・「機械マニアの男」→故・星新一の名作「ゆきとどいた生活」が元ネタ。余談ですが、似た内容の作品に、サキ「アン夫人の寡黙」がありまして、個人的には、サキの方が優れていると思います。
・「怪奇画を売る女」→ロバート・ブロック「名画」が元ネタ。「エコエコアザラクB」収録の「踊るコブラ」と同様です。
・「奇術師の賭け」→ヘンリー・スレッサー「最後の舞台」が元ネタ。「ヒッチコック劇場」で観たものと思われます。

2021年5月24日・6月3日 ページ作成・執筆

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