山岸凉子「ハーピー」(1981年6月30日初版・1982年2月20日5版発行)
収録作品
・「ハーピー」(1978年「プチコミック」12月号掲載)
「佐和春美は、編入生の川堀苑子から奇妙な臭いを感じる。
以来、妙に彼女のことが気になり、勉強も手につかなくなる。
誰も気が付いていないが、注意して観察すればする程、彼女は怪しい。
ことあるごとに彼に色目を使い、誘惑しているよう。
彼は彼女の素性を確かめようと帰りの後をつけるが、忽然と姿を消し、奇妙な鳴き声と羽ばたき音だけが残される。
ある日の授業で、彼は神話上の動物である「ハーピー」について知る。
彼は川堀苑子の正体は「ハーピー」ではないかと疑い始めるのだが…」
・「雨の訪問者」(「月刊セブンティーン」1979年7月号掲載)
「糸井久仁子は市役所に勤める女性。
年は40歳ぐらいだが、結婚する気は全くなく、一人気ままな生活を楽しんでいた。
ある雨の日、彼女が帰宅すると、部屋の中に一人の少女がいる。
少女は「ベル」と名乗り、自分の家のようにくつろいでいて、全く遠慮というものがない。
迷子と思い、どこから来たのと聞いても、ずっと一緒に住んでいたと答え、ヘタなことを言うと、泣かれてしまう。
散々、ベルの我がままに振り回された後、久仁子は近所に迷子がないかどうか尋ねに行くが、いつの間にかベルの姿は消えていた。
翌日、仕事から帰ると、また部屋にベルがいる。
子供の相手は厄介だが、それでも、世話せずにはいられない。
神出鬼没の少女、ベルの正体は…?」
・「ウンディーネ」
「陸田は動物雑誌の出版社の非常勤のカメラマン。
彼は動物にしか興味のない、寡黙な青年であった。
彼は、北海道のある沼で、一日中テントにこもってマガモの写真を撮ることになる。
沼のそぼには廃屋らしき小屋があり、彼はそこを寝室と暗室に使う。
ある霧の深い夜、居眠りから覚めた彼が、沼を覗くと、そこにウンディーネを見る。
だが、それは溺れかけている少女であった。
彼は少女を助け、小屋のストーブで服を乾かす。
彼女はこの付近の家の娘で、霧で道に迷い、沼にはまったと話す。
以来、彼女は度々、彼の小屋を訪ねてくる。
彼は次第に彼女に惹かれて行くのだが…」
・「ストロベリー・ナイト・ナイト」(1981年「マンガ少年」3月号掲載)
「気が付くと、彼女は病院にいた。
医師も看護婦もおらず、これ幸いと外に出ると、いくら解放病棟とは言え、混乱の巷。
彼女が、様々な人の露骨な姿を見ていくうちに、到達した真実とは…?」
「雨の訪問者」は、トルーマン・カポーティ「ミリアム」から着想を得たのでしょうか?
山岸凉子版の方はハート・ウォーミングな仕上がりとなっております。
2022年1月18日 ページ作成・執筆
2022年12月26日 加筆訂正
2023年1月14日 加筆訂正