高木裕里・漫画/稲葉朋子・監修「ヒーラー稲葉朋子の前世案内」(2012年10月1日初版第一刷発行)

・「第1話 届かない声」(「あなたが体験した怖い話」2009年1月号)
「稲葉朋子は山寺家に相談に呼ばれる。
 その一家では母親を交通事故で急に亡くし、娘の奈津子は後悔と怒りに苛まされていた。
 朋子の前に、母親の霊が現れるが、彼女は娘のことを心配していた。
 娘が恨み言を言うたびに、娘の体を黒い何かが覆っていき、母親もそれに捕まっていると言う。
 朋子は奈津子に、母親を「引き止めない」よう諭すのだが…」

・「第2話 前世の記憶」(「あなたが体験した怖い話」2009年9月号)
「漫画家の高木裕里の体験談。
 彼女と弟は「白いもの」、特に、白米、牛乳といった食べ物が苦手であった。
 何故か、そういう食べ物を目にすると、「胃のあたりをにぎりしめられる感覚」に襲われる。
 また、「あおむけで眠る」ことも苦手で、これも「お腹が不安」という感覚のせいであった。
 稲葉朋子は裕里の前世を霊視して、「白い恐怖」は前世の「怖い」記憶が原因だと話す。
 彼女の前世での最期とは…?」

・「第3話 霊能者・稲葉朋子″誕生」(「あなたが体験した怖い話」2009年11月号)
「稲葉朋子が力に目覚めるまでの物語。
 彼女は昔から「変なもの」を視ていて、それが「日常」であった。
 だが、人の数ほど霊はいて、また、人の裏の姿を知らされることもしばしばで、どうしたら「普通」になれるのかばかり考える。
 そんな時、彼女は「死んじゃいたい」という言葉にとり憑かれる。
 決して死にたくはないのに、ふとした折りに「死にたい」という言葉が聞こえてくる。
 外に出ると、死に場所を探しているように思い、彼女は部屋に引きこもる。
 半ば絶望した彼女は、見知らぬ男性が崖に立っている光景を視る。
 彼も、彼女と同じように、力に苦しんでいて…」

・「第4話 さまよう魂」(「あなたが体験した怖い話」2010年3月号)
「編集部に届いた、読者からの多くの手紙。
 稲葉朋子はその中から四通の手紙を選ぶ。
 その手紙や写真には、同じ「浮遊霊」が憑いていた。
 この浮遊霊は女性で、「いろんな人に憑いて回りたい」という目的があった。
 どうやら、云十年前、有名企業のエリートOLがビルから転落死した事件と関係があるようなのだが…」

・「第5話 キツネの怒り」(「あなたが体験した怖い話」2010年5月号)
「小川家は何代も続く農家であったが、徐々に落ちぶれ、今は農業をしていない。
 小川家の長女の孝子はいまだ結婚せず、次女の愛子は結婚したものの、子供には恵まれない。
 そして、三女の美奈は小さい頃から精神科のお世話になっており、暴れることがしばしばであった。
 美奈の世話をするために、愛子が実家に帰った夜、奇妙な夢を見る。
 それは、「白い女」が赤ん坊を彼女から取り上げるというもので、同じ夢を愛子は何度も見ていた。
 しかも、美奈も「白い女」を昔から見てきたことがわかる。
 「白い女」の正体は…?」

・「第6話 前世からの約束」(「あなたが体験した怖い話」2010年7月号)
「麻衣子は中村正樹と「運命の人」と思って結婚したが、その正樹が連帯保証人で五百万の借金を作る。
 スーパーやスナックでバイトをして、ようやく生活できていたものの、ストレスがたまりまくって、娘のヒナにもあたってしまう。
 ある時、彼女はスナックの客の田所からプロポーズをされる。
 彼女は夫を捨てて、彼のもとの走ろうかと考えるが、決心がつかず、稲葉朋子に相談する。
 彼女の霊視によると、麻衣子は「外国の大臣らしき人物」で、正樹は「国王」だったとのことなのだが…」

 スピリチュアル界隈では有名な稲葉朋子さん。
 ご本人は、自分を「太陽さんの言葉を皆さんに伝える」「巫女」、もしくは、「神の言葉を伝える『通訳』」と捉えており、霊能者というよりも宗教家に近い手触りを感じます。
 私が読んだ限りでは、その思想(と言うと大袈裟ですが)「無償の愛」のかたまりである「太陽さん」が中心にあるようです。
 ともあれ、稲葉朋子さんの「あとがき」によると2013年12月には「審判の時」が訪れるとのことですが、これはどうなったのでしょうか?(注1)
 あと、「第4話 さまよう魂」は、山岸凉子先生のいまだに先鋭的な傑作「天人唐草」ばりにヘビーな内容です。
 これはエグい!!

・注1
 うまくやり過ごせたのか、それとも、実はもう世界は終わっているのか、わかりませんが、まあ、どちらでもいいことです…。

 
2022年4月21日 ページ作成・執筆

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