唐沢俊一・編「好美のぼる傑作選 あっ!生命線が切れている」(1998年4月25日初版発行)

 収録作品

・唐沢俊一「ここは地獄か天国か? 好美のぼるワールドへようこそ!」
「あっ!生命線が切れている」
・「呪いのハンドバック」(未亡人の許可を得て、貸本漫画を短縮版に編集)
 質屋の娘、正子は、店に持ち込まれた商品のハンドバックに、一目見て夢中になる。
 その夜、ハンドバックを枕元に置いて寝ると、ハンドバックから少女の幽霊が現れ、自分の死体を探して欲しいと嘆願する。
 以来、正子は熱を出して寝込み、家族はハンドバックを捨てようとするが、どうしても正子のもとに戻ってくる。
 寝床から起きた正子は、ハンドバックに導かれるまま、ある鞄職人のもとに向かうのだが…。
「妖怪七変化」
・唐沢俊一「悲願の企画“好美のぼる傑作選”」

 唐沢俊一氏による、好美のぼる先生の復刻本です。
 チョイスに関しては様々な意見があるとは思いますが、怪作「妖怪七変化」をまるまる収録したのは快挙と言ってもいいでしょう
 また、クセの強い、唐沢俊一氏の解説も、この本に関しては、氏の「本気(マジ)」を感じさせるものです。
 唯一残念なのは、この本が好美のぼる先生の本格的な再評価につながらなかったこと。
 私の知る限りでは、ここまで真剣に好美のぼる先生の復刻に取り組んだ人はいまだ唐沢俊一氏一人だけです。
 この本が出版されて約20年…好美のぼる先生は相変わらずキワモノ扱いされたまま、価格のプレミア化のみ進行しております。
 まあ、確かに好美のぼる先生の作品は「限りなく駄作に近い珍作・怪作」が大半を占め、キワモノ扱いされるのは致し方ないとは思いますが、今現在でも読み応えのある作品だって(あまり多くはないような気はするものの)存在します。
 幅広く作品に光を当て、「闇の巨匠」について多面的に考証されるよう、祈っております。

・備考
 カバーの穴に破れ

2018年7月26日 ページ作成・執筆

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