いけうち誠一・漫画/中岡俊哉・監修「くらやみ倶楽部」(1977年2月15日2刷発行)
東京都下不覚中学校の二年生により結成された「くらやみ倶楽部」。
目的は科学の目で超常現象を研究することで、メンバーは以下の通り。
ひろし〜主人公。クラブのまとめ役。背が低いことが悩み。
マジンガ〜本名・冠木光次。学校の総番長。
マリ〜おチビな少女。
下条奇子〜転校生。不思議な少女。
この奇子を中心に奇怪な出来事が起こっていく…。
・「第1話 恨みの心霊写真」
「最近、新校舎に幽霊が出るという噂が立つ。
それも奇子が転校してきてから出るようになったらしい。
ひろし達は超常現象研究家の中岡俊哉氏に相談し、心霊写真を撮るため、放課後の学校を訪れる。
すると、学校を休んでいるはずの奇子が新校舎の「ナゾの13階段」の前にいた。
マジンガがとりあえず奇子を写真に撮ると、その写真には地縛霊らしきものが写る。
地縛霊は着物姿の娘で、右目に釘が刺さっていた。
地縛霊と奇子は何らかの関係があるようなのだが…」
・「第2話 死を呼ぶ呪い」
「ここのところ、マジンガの様子がおかしい。
顔色が悪く、憔悴しているようで、妙に苛々していた。
ある夜、彼は土葬の墓穴に落ち、つるはしが腹に刺さって、大けがをする。
ひろし達が彼に何故、夜の寺に行ったのか尋ねても、本人にもよくわかっていない。
どうやら、マジンガは何者かに操られて、気が付くと、墓穴の中にいたらしい。
更に、彼にしか聞こえない、呪文のような言葉にしばしば苦しめられていた。
マジンガの話を聞き、奇子は彼が誰かに呪われていると気づく。
マジンガを呪っているのは誰なのか…?」
・「第3話 よみがえるミイラ」
「ある日、ひろし達は三年の黒崎に四百年前のミイラを見たくないかと誘われる。
彼の母は東北の出身で、そこにミイラが「ながれ仏」として祠に祀られていた。
一行は母親の実家を訪ね、裏山にある祠に向かう。
そこは岩だらけの霊場のような場所で、祠にはヨネという老婆しか近づいてはならなかった。
黒崎は祟りなど信じず、夜、ミイラを暴きに行くのだが…。
一方、奇子はこの村に既視感を抱いていた。
彼女は黒崎の行動を予知し、止めなければならないと思うが、同時に、自分自身の特殊な能力を解き明かすことにつながる気もする。
ミイラと奇子の関係とは…?」
・「第4話 おれは超能力者だ…」
「卒業式の余興の一環として、二年の小野寺という少年が超常現象の実験を行う。
まず、コックリさんをして、彼が超能力者であること、そして、立山墓地で心霊写真を撮ることを告げられる。
そのお告げの通り、彼は心霊写真を撮り、学校中で超能力者としてもてはやされる。
その頃、新聞の片隅に「神童現る!?」という記事が掲載される。
記事によると、地方の名家の12歳の少年が遠くの出来事をぴたりと当てるという。
だが、家の人々は少年を忌み、家の外には出さなかった。
座敷牢に閉じ込められた少年は超能力で助けを求める。
一方、小野寺は、三日後に女の子が行方不明になると予言するのだが…」
オカルト・ブームの真っ最中に描かれたオカルト漫画の佳作です。(いけうち誠一先生、今回も良い仕事をしております。)
確認は取れておりませんが、学研のティーン向けの雑誌に連載されたのではないでしょうか。
「よみがえるミイラ」がかなりトバしておりますが、他の回はバランスの取れた内容で、小難しくもなく、ストーリーもしっかりしております。
また、ヒロインが可愛いのも高ポイントです。
ただし、注意しなければならないのは、これは完全版ではなく、一番最初の回の「恐怖のサイキック円盤」が削除されております。
理由は、あくまで推測ですが、ひろしが奇子の風呂場を覗き、彼女のヌードを見るシーンがあるためだと考えております。
ちょっと子供には刺激が強すぎる、もしくは、不健全ということで、収録が見送られたのではないでしょうか?
後に出た立風書房版ではちゃんと収録されておりますので、入手するのであれば、立風書房版をお勧めいたします。
2023年6月10・19日 ページ作成・執筆