いけうち誠一
「くらやみクラブ」(中岡俊哉・監修/1979年5月10日発行)
「私は心霊少女」(中岡俊哉・原作/1985年7月15日第1刷・1988年7月15日第4刷発行)

 東京都下不覚中学校の二年生により結成された「くらやみ倶楽部」。
 目的は科学の目で超常現象を研究することで、メンバーは以下の通り。
 ひろし〜主人公。クラブのまとめ役。背が低いことが悩み。
 マジンガ〜本名・冠木光次。学校の総番長。
 マリ〜おチビな少女。
 下条奇子〜転校生。不思議な少女。
 この奇子を中心に奇怪な出来事が起こっていく…。

・「第1話 恐怖のサイキック円盤」
「ひろしは転校生の下条奇子に想いを寄せていた。
 彼女はいつも一人で、その寂しそうな表情も気にかかる。
 ある時、彼は彼女と話すきっかけを掴み、義姉のみどりについて話す。
 義姉は去年の冬から猛烈な頭痛に襲われていた。
 それはUFOがこの家の上を通る時に起こるというのだが、UFOは彼女だけにしか視えない。
 奇子はそれは「サイキック円盤」だと言い、それが見えるのは義姉以外にもいるとひろしを励ます。
 ひろし達は「サイキック円盤」について調べるため、義姉に会いに行く。
 義姉は来週の水曜日、土岡山に円盤が現れ、病人の知人がいれば、その人を円盤が治してくれると話す。
 当日、彼らが、小さい頃から足の不自由な少年を連れて、土岡山を訪れると…」

・「第2話 恨みの心霊写真」
「最近、新校舎に幽霊が出るという噂が立つ。
 それも奇子が転校してきてから出るようになったらしい。
 ひろし達は超常現象研究家の中岡俊哉氏に相談し、心霊写真を撮るため、放課後の学校を訪れる。
 すると、学校を休んでいるはずの奇子が新校舎の「ナゾの13階段」の前にいた。
 マジンガがとりあえず奇子を写真に撮ると、その写真には地縛霊らしきものが写る。
 地縛霊は着物姿の娘で、右目に釘が刺さっていた。
 地縛霊と奇子は何らかの関係があるようなのだが…」

・「第3話 死を呼ぶ呪い」
「ここのところ、マジンガの様子がおかしい。
 顔色が悪く、憔悴しているようで、妙に苛々していた。
 ある夜、彼は土葬の墓穴に落ち、つるはしが腹に刺さって、大けがをする。
 ひろし達が彼に何故、夜の寺に行ったのか尋ねても、本人にもよくわかっていない。
 どうやら、マジンガは何者かに操られて、気が付くと、墓穴の中にいたらしい。
 更に、彼にしか聞こえない、呪文のような言葉にしばしば苦しめられていた。
 マジンガの話を聞き、奇子は彼が誰かに呪われていると気づく。
 マジンガを呪っているのは誰なのか…?」

・「第4話 よみがえるミイラ」
「ある日、ひろし達は三年の黒崎に四百年前のミイラを見たくないかと誘われる。
 彼の母は東北の出身で、そこにミイラが「ながれ仏」として祠に祀られていた。
 一行は母親の実家を訪ね、裏山にある祠に向かう。
 そこは岩だらけの霊場のような場所で、祠にはヨネという老婆しか近づいてはならなかった。
 黒崎は祟りなど信じず、夜、ミイラを暴きに行くのだが…。
 一方、奇子はこの村に既視感を抱いていた。
 彼女は黒崎の行動を予知し、止めなければならないと思うが、同時に、自分自身の特殊な能力を解き明かすことにつながる気もする。
 ミイラと奇子の関係とは…?」

・「第5話 おれは超能力者だ…」
「卒業式の余興の一環として、二年の小野寺という少年が超常現象の実験を行う。
 まず、コックリさんをして、彼が超能力者であること、そして、立山墓地で心霊写真を撮ることを告げられる。
 そのお告げの通り、彼は心霊写真を撮り、学校中で超能力者としてもてはやされる。
 その頃、新聞の片隅に「神童現る!?」という記事が掲載される。
 記事によると、地方の名家の12歳の少年が遠くの出来事をぴたりと当てるという。
 だが、家の人々は少年を忌み、家の外には出さなかった。
 座敷牢に閉じ込められた少年は超能力で助けを求める。
 一方、小野寺は、三日後に女の子が行方不明になると予言するのだが…」

 以前に出たコース・コミックス版(学研)では一話が削除されておりましたが、立風書房版では恐らく、完全版となっております。
 また、1985年には「私は心霊少女」と改題され、カバー表紙も描きなおされております。(内容は全く一緒です。)
 ただ、五年の間にいけうち誠一先生の絵柄が変化したのか、改題版の方の表紙の奇子はあまり可愛くありません。
 絶対に「くらやみクラブ」版の表紙の方がいいと私は思います。

2023年6月19日 ページ作成・執筆

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