まちだ昌之「血ぬられた罠」(1988年10月16日発行/青187)
「小さな島の山中にある赤沼家。
姉の琴美は、両親から、一歳年下の笙子と絶えず比較されていた。
笙子は優しく、頭の良い子で、両親の寵愛を集める。
そのため、琴美はどんどんひがんでいき、笙子に対する憎しみを募らせていく。
笙子が醜くなれば、両親の愛を得られると考え、冬のある日、琴美は、やかんの置いてあるストーブに笙子を突き飛ばす。
熱湯を顔に浴び、笙子は顔の右半分に大火傷を負うが、予想とは違い、両親の愛は琴美からますます離れていく。
時は流れ、琴美は18歳、笙子は17歳。
笙子は右の額に、醜い火傷の痕があるが、美しい娘へと育つ。
一方の琴美は、相変わらず、両親から厳しく当たられていた。
夏のある夜、水を飲みに起きた琴美は、両親のひそひそ話を耳にする。
それは、琴美は養女という内容であった。
琴美は、今までの冷たい仕打ちの理由を知り、憎悪に燃える。
翌日、彼女は父親を井戸に突き落とし、その後、母親を蔵に誘い出し、硫酸で顔を焼いた後、監禁。
両親が行方不明になった後、琴美は、笙子をいびり倒す。
そんなある日、東京から、姉のペンフレンド、広井哲雄が島を訪れる。
彼の出現により、姉妹の確執は、恐るべき破滅へと向かうのであった…」
黒枠単行本の「人喰い少女」「たたり」等で、根強いマニア人気を誇る、まちだ昌之先生。
ただ、この作品はイマイチに思います。
ストーリーは、まあ、よくあるタイプで、可もなく不可もありません。
ただ、絵柄が劇画風に変わっており、どこか無理して描いているような感じで、正直、ビミョ〜です。(注1)
時が経つにつれ、人は変わっていくものですが、矢乃藤かちすけ(サトノ光年)先生のようにブレないで欲しかったなあ〜。
個人的には、巻末の「読者のみなさんへ」(UFOの目撃談や幽霊を探して、夜の墓場をうろついた話)の方が面白かったです。
・注1
ヌード・シーンの描写から判断すると、エロ劇画・雑誌で描いていたのではないでしょうか?(腋毛まで描いてることに、ちょっぴり感動。)
なお、1980年代に、立風書房の雑誌「MACO」でも、同じ絵柄で、怪奇短編を描いております。
2020年11月21日 ページ作成・執筆