森由岐子
「人形館の花嫁」(1980年8月10日発行/黒100)
「炎に消えたママ」(1988年5月16日発行/黒203)
「鈴子は、花嫁募集のテレビ番組に出演した、彫刻家の田梨淳一郎に惹かれる。
彼は、妻を亡くし、三歳の娘、つぐみの母親になってくれる女性を探していた。
縁あって、二人は結ばれ、彼女は淳一郎の邸にやって来る。
初めに、淳一郎は、前妻の美智子の部屋と、彼の仕事部屋だけは入らないよう、鈴子に注意する。
鈴子の花嫁としての生活が始まるが、徐々に夫の行動に不審を抱き始める。
また、つぐみの言うことを聞くと、亡くなったはずの美智子が生きているようで、不審に輪をかける。
ある日、夫が留守の時、彼女は仕事部屋を鍵穴から覗いてみる。
向こう側に見えたのは、床に座る美智子の姿であった。
しかし、これは、精巧な蝋人形であり、つぐみを慰めるために作られたものであることが判明する。
一旦は安心するも、再び鍵穴を覗くと、人形の姿がなく、鈴子は、人形が動いているという疑惑が拭えない。
様々な奇怪な出来事の後、鈴子は、館の謎を解き明かすために、美智子の部屋を調べるのだが…。
美智子の人形の秘密とは…?」
唐沢俊一&ソルボンヌK子「森由岐子の世界」(白夜書房)にて紹介された作品です。
ドロドロしてなく、どこか明るい雰囲気のある作品で、私のお気に入りです。
作品に明るさがあるのは、母性的なヒロインによるものでしょう。
少女漫画のヒロインらしく、時にヒステリック、時にメソメソはしてますが、性格に裏表はなく、明朗で家庭的です。
ラストもハッピーエンドで、読後感が爽やかなのもポイント高いです。
あと、後半、人形の秘密が明かされるシーンに、歴史に残る(かもしれない)へっぽこ・シーンがありまして、何度、読み返しても、味わい深いです。
2019年5月31日 ページ作成・執筆