稲垣みさお「死体処理請負人アマネ@」(2000年6月1日初版発行)
怪瀬(あやせ)アマネは死体処理請負人。
彼の仕事は、依頼があれば、どんな死体であれ、回収し、処理すること。
そして、彼は、山奥にある館に、個性溢れる幽霊達と一緒に暮らしていた。
さて、本日の依頼は…?
・「FILE:001」
「今回の依頼は、絞殺された女子高生を死体処理。
アマネは早速、館の裏手の墓地に死体を埋葬し、彼女の魂を目覚めさせる。
彼女は成仏せず、幽霊になったところを見ると、この世に未練がある様子。
彼女の話を聞くと、彼女は「金曜の殺人鬼」に殺されていた。
しかも、「金曜の殺人鬼」は、飲んだくれ、かつ、ろくでなしの、彼女の父親らしい。
次の金曜日、彼女は、自分の父親を止めようとするのだが…」
・「FILE:002」
「今回、アマネの館にやって来たのは、恵という名の、薬物自殺した女子中学生の幽霊。
彼女は、学校でいじめにあい、自殺したのだが、それをひどく後悔していた。
翌日、跳び下り自殺した女子中学生の霊、あゆみ、が彼女に話しかけてくる。
二人は新入り同士という事で仲良くなり、恵は自殺の原因について話す。
恵の話を聞いて、あゆみは、いじめっ子グループの三人に復讐しようと提案。
しかし、幽霊だから何もできず、アマネに相談するも、生きてる人間に関わるなと一蹴される。
そこに、館の幽霊達が協力を申し出て、いじめっ子達に仕返ししていく。
最後、リーダー格の石井への復讐するため、二人は「地獄博士」に頼ることになるのだが…」
・「FILE:003」
「アマネはすっかりお冠。
というのも、同業者のオリエに、色仕掛けで、仕事を横取りされてしまったからであった。
オリエは、ガリガリの拝金主義者。
彼女は幽霊達には関心がなく、地下の倉庫に閉じ込めていた。
一方、アマネは、幽霊達の中に、オリエのスパイがいるのではないかと考えるのだが…」
・「FILE:004」
「アマネは、町で、自分の死に気付いていない女の子の霊、佑(ゆう)と出会う。
仕方なく家に連れて帰ると、彼宛ての手紙が来ていた。
その手紙は、佑の母親からで、殺され、埋められた佑を捜しだして、埋葬して欲しいと依頼されていた。
しかし、母親はすでに病死し、佑は、自分の死について記憶がない。
手掛かりを見つけるため、アマネと佑は、小学校に行くも、進展はなし。
だが、偶然に、アマネは、佑の実家を発見する。
その二階には…?」
(「ザ・ホラー」連載)
「死体処理請負人アマネ」は、「猟奇伝説アルカード」と並ぶ、稲垣みさお先生の代表作でしょう。
「アマネ」の方は「アルカード」よりも話題に上がることが少ないような気がしておりますが、個人的には、「アマネ」の方が遥かに好きです。
何故なら、個性的過ぎる、妙チクリンな幽霊達とアマネの、すっとぼけたやり取りが面白過ぎるから!
あらゆるコマに、稲垣みさお先生の奇想とサービス精神(これ最重要!/注1)が溢れ、もう、全てが愛おしいです。
んにしても、この個性的な幽霊の面々に、稲垣みさお先生が憧れた「ゆでたまご(「キン肉マン」の作者)」先生のスピリッツを感じるのは私だけでしょうか?
「ホラーコミックス」からは残念ながら続刊は出ず、ソフトマジックの「マジカルミステリーホラー」第六巻にて続きを読むことができます。
・注1
「自分が描いていて超楽しいし、読者の皆も楽しんでくれ〜!」といった感じに、サービス精神を炸裂させた漫画家さんは、私の知る限り、稲垣みさお先生と三家本礼先生しかおりません。(他にもたくさんいると思います。ごめんなさい…。)
しかも、お二人とも、姿勢は全くブレずに、現在も活動を続けておられます。
凄過ぎる…。
2020年1月14日 ページ作成・執筆
2020年1月31日 加筆訂正