稲垣みさお「死体処理請負人アマネ」(2002年9月6日初版発行)

 怪瀬(あやせ)アマネは死体処理請負人。
 彼の仕事は、依頼があれば、どんな死体であれ、回収し、処理すること。
 そして、彼は、山奥にある館に、個性溢れる幽霊達と一緒に暮らしていた。
 さて、本日の依頼は…?

・「prologue 刺殺死体」(描き下ろし)
「アマネが処理を依頼されたのは、滅多刺しにされた、若い娘の遺体。
 「完璧!迅速!秘密厳守!」をモットーに今回も手際よく仕事を片付ける。
 もちろん、死後のアフターケアサービスも手ぬかりなし!」

・「transaction001:水死体」(「ザ・ホラー」1999年12月号)
「深介は、霊能力を持つ、死体マニアの青年。
 彼は、脳みそ博士に唆され、アマネに憧れる。
 ある日、彼は偶然に、アマネの携帯電話を拾い、彼の代わりに水死体の処理をして、大興奮。
 だが、彼は、アマネのヘタレな現状を目の当たりにして、死体処理の仕事をアマネから奪おうとする。
 そこで、彼は、アマネの顔写真の載ったチラシと、死体の片手首を警察に送り、大騒動を起こす。
 切羽詰まったアマネは「ねむり姫ランド」へと向かう。
 「ねむり姫ランド」では、様々なアトラクションをクリアし、ねむり姫に会えたら、何でも願いを叶えてもらえるのであった。
 深介も、アマネを蹴落とすべく、「ねむり姫ランド」に参加するのだが…」

・「transaction002:呪殺死体」(「ザ・ホラー」2000年2月号)
「次なる依頼は、山奥の別荘にある、大量の死体の処理。
 アマネは「あめっピ」(鳥の霊)に乗り、現場に行くが、そこでゾンビ達に襲われる。
 霊体には対応できても、ゾンビの相手はしたことがなく、比較的新しいゾンビから幽体を引っこ抜いて、その場から逃げ出す。
 自分の館に戻り、幽体と対面すると、幽体は、初音という若い娘であった。
 彼女の話によると、彼女の父親は不動産関係の仕事であったが、行方不明になる。
 父親を捜していた時、開発予定地にある別荘を訪れると、ゾンビに襲われ、彼女もゾンビにされてしまったのであった。
 そして、ゾンビを操っているのは謎の「霊の黒いかたまり」らしい。
 初音は一度はアマネと喧嘩をして、屋敷を出るものの、すぐにまた戻って来る。
 彼女の妹、音波(おとわ)が、鳥の霊に憑りつかれて、衰弱しつつあった。
 初音は、手掛かりを得るためにも、音波を助けるよう、アマネを説得。
 キレながらも、アマネは音波に接近するのだが…」

・「ユーレイ人気コンテスト」
 「ザ・ホラー」1999年12月号誌上で募集された「ユーレイ人気コンテスト」の結果発表を再構成したもの。

・「transaction003:巨大生物」(「ザ・ホラー」2000年6月号)
「アマネの館の前に、いつの間にか川が流れていた。
 川は山の方から流れてきて、しかも、水量が増しつつある。
 更に、山の向こうには、巨大な生物が現れ、アマネの館に近づいて来ていた。
 計算によると、巨大生物がアマネの館に到着するまであと五分。
 このままでは館が潰されるかもしれず、アマネと幽霊達は知恵を絞って、巨大生物を阻止しようとするのだが…」

・「transaction004:海宝奈生」(「ザ・ホラー」2000年10月号)
「ある島で行われる「上半期死体処理人成績発表パーティ」。
 面倒臭くても、こればかりは参加しないわけにはいかない。
 実は、成績が最下位のグループは、死体処理人をクビになってしまうため、トラブル・メーカーのアマネは戦々恐々。
 そして、彼は、最下位グループの中に入っていた。
 落胆し、外を一人で歩いていると、海宝奈生という死体処理人が話しかけてくる。
 彼は、成績が常にトップの死体処理人で、赤ん坊を非常に溺愛していた。
 海宝奈生によると、今回、最下位グループのクビはないと言う。
 アマネは安心するが、海宝によって、幽霊達と共に、絵の中に閉じ込められ、次々と危険な目にあう。
 海宝奈生がアマネの命を狙う理由とは…?」

・「transaction005:首吊り死体」(描き下ろし)
「アマネに、不治の病のために、首吊り自殺をしようとする女性から電話がかかる。
 彼女の依頼は、死体処理と共に、夫のいる天国へと送ってほしいというものであった。
 アマネは早速、依頼を遂行するが、何故か、女性の霊体が二体、現れる。
 どうやら片方は、成仏したがっている地縛霊だが、どちらが依頼主か見分けがつかない。
 そこで、アマネは、女性が残していった、自閉症の息子に判断してもらおうと考える。
 だが、その少年は、自閉症なんかではなく、霊感体質のため、霊に怯えていたのであった。
 アマネは、少年を自分の過去と重ねあわせ、初音が止めるのも聞かず、自分の館へ連れて行くのだが…」

・「巻末特集 稲垣みさおインタビュー(インタビュー・構成/吉田比糸)」

 角川書店からの「ホラーコミックス」単行本では残念ながら続巻が出ず、ソフトマジックの「マジカルミステリーホラー」の第六巻として出されたものです。
 描き下ろしが二編、充実したインタビュー、カバーを外すと「読者が考えたオリジナルユーレイ大発表!!」(コレ、最高!!)と盛りだくさんな内容です。
 ただ、収録から漏れた作品があるらしく(不勉強故、雑誌まであたっておりません…)、そこが残念…。
 完全版、出ないものでしょうか…。
 いや、そんなことよりも、続編希望しております!

2020年1月31日 ページ作成・執筆

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