ささやななえこ「ミノタウルス」(2001年6月10日初版発行)
収録作品
・「サラの遺言」(1980年「プチフラワー」秋の号掲載)
「カードとジョーカーはケチなチンピラ二人組。
彼らは町外れのある屋敷に金貨が隠されているという情報を得る。
その屋敷は、サラ・サーファンという老婆の持ちものであった。
彼女は両親を早くに亡くし、妹と二人で暮らしていたが、婚約者が妹と駆け落ちをして、以後、屋敷に閉じこもって暮らしていたと言う。
二人は、宿にあぶれた旅行者のふりをして、屋敷を訪れる。
屋敷には、
サラの最後の恋人で、屋敷の相続者のエドウィン・キャッスル(未成年)
サラの遺言書に関する件で、エドウィンともめている、家代々の弁護士、マイケル・オードソン
サラに長年仕えていた執事のリフラフ
の三人がいた。
カードとジョーカーは、亡くなったサラの部屋をあてがわれる。
その夜、霊感体質のジョーカーは部屋で若い娘の亡霊を目にする。
翌日、彼は体調を崩し、カードはこれ幸いと滞在の延長を求める。
しかし、いろいろと部屋を当たってみても、金貨のありかは見当もつかない。
チャンスは今夜しかないが、金貨の噂は本当なのだろうか…?
そして、若い娘の亡霊の正体は…?」
・「ミノタウルス」(1982年「プチフラワー」3月〜9月号掲載/単行本化の際、加筆)
「カードとジョーカーはケチな泥棒野郎。
スリで狙った相手は、弁護士のオードソンが雇った私立探偵で、彼が心臓麻痺で急死したため、二人は調査の続きを受け持つことになる。
その調査とは、ハートフォードという僻村で起こった殺人事件に関するものであった。
痴話喧嘩が原因かと思われたが、殺人現場の敷地内のロスター屋敷には昔からよくない噂があり、昔から子供が行方不明になったりしていた。
また、四年前にも、ロスター家の十歳の息子、エドワードが突然、家出して、そのまま、行方不明になっている。
カードはエドワードからの手紙を捏造して、二人でロスター屋敷を訪問。
ロスター家の主人はボストンの実業家で、ほとんど帰って来ないため、ロスター夫人が二人と面会する。
ロスター夫人は非常に美しく、穏やかな女性で、村の不吉な噂をみじんも感じさせない。
彼女はエドワードからの手紙に感激し、二人に屋敷へ滞在するよう勧める。
二人は屋敷について調べていくが、徐々に奇怪な真相に近づいていく。
ジョーカーの前に現れる、角を生やし、仮面をかぶった人物の正体は…?」
・「霊送の島」(1991年「増刊ASUKAミステリーDX」7月20日号(前編)・9月20日号(後編))
「矢島沙織は、測候所で単身赴任をしている父親に会うため、母親と共に国根島を訪れる。
国根島は本土から二時間ほどの小島で、過疎化が進み、島民は十五人の高齢者のみ。
島には古代に人が住んでいた遺跡や古墳であり、通らずヶ浜には見事な横穴墓群があった。
島民は閉鎖的で、沙織が居心地悪く感じていたところに、遺跡を見に来たらしい、大学生の河原建士と出会う。
彼は遺跡について詳しいでなく、島についてもいろいろ知っているようだった。
建士と一緒にいるうちに、沙織はこの島には人を蘇らせる祭祀遺跡があることを知る。
この島の奇怪な秘密とは…?
そして、河原建士の秘められた過去とは…?」
アスカ・コミックスの「ミノタウルス」と「霊送の島」のカップリングです。(「魂送の島」に併録された「はるかなる向こうの岸」は未収録。)
変更点と言えば、作者のペンネームが「ささや ななえ」から「ささや ななえこ」になったことぐらいだと思います。
2023年12月7日 ページ作成・執筆