好美のぼる「鬼女(おにめ)」(230円)



「ある山村。
 咲子の母親は癌で余命六か月。
 咲子は、人里離れた山麓に一人で住む老婆のもとに、相談に出かける。
 老婆は咲子に癌に効くという「猿のこしかけ」を与えるが、その代わりに条件を出す。
 それは「猿のこしかけ」一つにつき、夜中の十二時と一時の間に、家の戸口に貼ってあるお守りを十枚取ってくるというものであった。
 咲子は母の命を救おうと、お守りを集めまくるが、ふとしたことで老婆の秘密を知る。
 老婆の正体は、今や絶滅寸前の鬼の生き残りであった。
 そして、鬼女の目的は、村中の人間を犠牲にして、仲間の鬼を復活させることにあった。
 鬼女に心を抜かれた咲子は、鬼女の操り人形にされてしまうのだが…」

 様々なジャンルの作品を描かれた、好美のぼる先生でありますが、個人的には、ど田舎を舞台とした、泥臭い怪奇マンガが好みです。
 この作品もそういう作品の一つでありまして、深みというものがないのは相変わらずです。
 第一、咲子が鬼女に心を抜かれたかと思いきや、鬼女の神通力の衰えで、実は抜かれていませんでした…なんて、そんなのアリですか…?
 んで、ネタばれですが、鬼女の陰謀を知った村人達がウダウダ相談した末、鬼の骨をかぶって鬼に変装、鬼女をリンチにしてぶち殺す、という結末で、イマイチすっきりしない感じです。
 それはともかくとして、一番の見所は、床下に鬼の骨を置かれた家の住人が悶死した後、いろいろな身体の部分がズルズルと床下に移動して、鬼が復活する描写でしょうか。

 この作品は、後に同じ出版社から出たアケボノ・コミックスの「妖怪合戦」(その他の出版社/曙出版)にて、「闇の眼少女」とカップリングで再録されております。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸本店のスタンプあり。

2016年12月9日 ページ作成・執筆

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