さがみゆき「狂った子猫」(200円/1964年初夏頃(注1))
「一世を風靡した少女スターの三沢秋子。
自動車事故で片足が不自由になったのが転落の始まりで、心臓病に母親の死と立て続けに不幸に見舞われる。
今は姉の冬子の世話を受ける身であるが、冬子は昔から秋子を憎悪しており、事あるごとに秋子につらく当たる。
週に一度、秋子の身の周りの世話をする家政婦のお梅はそんな秋子に同情し、冬子のことを異常であると忠告する。
冬子は小鳥を嬲り殺しにして楽しんでいたのだった。
結局、お梅は解雇されることとなるが、秋子とは友人として付き合うことにする。
秋子宛ての手紙や秋子が出す手紙も片端から冬子が握り潰していたので、お梅は手紙のやり取りを受け持つ。
一か月後、お梅と秋子が会う現場を冬子に見つかるが、お梅は冬子の嫉妬に満ちた卑しい心を弾劾する。
そして、秋子の自動車事故の真相を暴き、冬子を気狂いだと断言する。
顔色が変わった冬子は足元の木の棒を手に取り、何やら決意を固めた表情。
秋子が止めに入るが、突き飛ばされ、木に後頭部を打ち付け、崩れ落ちる。
そして、お梅は頭を叩き割られてしまうのであった。
その夜、三沢秋子の友人、野辺千加子が秋子の屋敷を訪れる。
千加子は秋子に泊まりに来るように手紙で誘われていたのであった。
しかし、そこに秋子の姿はなく、いやな感じの冬子しかいなかった。
秋子は病気で面会謝絶とのことで、秋子の病気が落ち着くまで、千加子は滞在することになるのだが…」
「おしゃべりのページ」(pp75・76)によると、さがみゆき先生のひばり書房での第一作のようです。
当時のホラー映画の影響大と見ましたが、どんなものでしょうか。
基本的な大筋は「何がジェーンに起こったか?」(米/1962年/ロバート・アルドリッチ監督)で、ラストが「サイコ」なのではないかと推測いたします。
だからと言って、単に二番煎じというわけではなく、頑張ってアレンジしているところに好感が持てます。
この作品のポイントは秋子に嫉妬と憎悪を燃やす冬子の描写なのでしょうが、しょっちゅう目付きが怪しくなるのが味わい深いです。
また、初期の絵柄ではありますが、さがみゆき先生の美少女キャラはやはりいいですね〜。
この美少女キャラを目で追うだけで、あっという間に一冊読み終えてしまいます。
最後に、「狂った子猫」を英訳して、「A KITTY CRAZY」なんてカッコいい!!(表紙の「さがみゆきサスペンス劇場」の上に載ってます。)
Tシャツの柄にしたら、なかなかナウいのではないでしょうか?(テキト〜言ってます。)
・注1
巻末に「人気作家投票でテープレコーダーを当てよう!!」というページがあります。
そこで第一回締切日が「昭和39年8月31日」ですので、この本の出版日を「1964年初夏頃」としました。
・備考
状態悪し。ビニールカバー貼り付け。前の遊び紙に補修、裂け、数字の書き込みあり、また、取れかけ。後ろの遊び紙も補修、また数字の書き込みあり。pp25・26、ページの4/5程度欠損。pp27・28、大きな裂けあり。pp28・29、何かが挟まって、くっつき、剥げた痕あり。pp85・86、下部の角にコマにかかる欠損あり。
平成27年11月10日 ページ作成・執筆