「オール怪談・34」(170円)



 収録作品

・いばら美喜「殺さないで」(注1)
「ひなびた温泉街に休養に来たガンマン。
 彼は殺し屋が若い娘を背後から狙撃しようとするのを目にして、彼女を助ける。
 ガンマンが命を狙われた理由を問うと、彼女は自分はある殺人事件の目撃者だと説明する。  彼女の証言で殺人犯は死刑判決が下ったが、殺人犯の父親は殺し屋を雇い、彼女を亡き者にしようとしているのであった。
 そんな彼女をガンマンは守ることを決意する。
 しかし、彼女は老人は根は善人なので殺さないようガンマンに懇願する。
 ガンマンは残りの殺し屋を倒し、最後に当の老人が現われる。  老人はガンマンに、若い娘の正体を明かすのだが…」
 「オール怪談・83」からの再録です。

・小島剛夕「遥かなる歳月」
「山里の湯の里で、独り暮らしている老人。
 彼は若い頃、その腕を買われ、江戸でも有数の料亭で板前として働いていた。
 そこで、彼と、料亭の娘との間にほのかな愛が生まれる。
 だが、互いに言い出せないまま、娘に縁談の話が舞い込み、彼は身分違いの恋とあきらめる。
 そして、三社祭の際、彼は、手古舞連の行進をしている彼女の名前を一声呼び、その足で田舎に帰ったのであった。
 それから数十年経った秋の晩、彼の目の前に、手古舞姿の娘の姿が再び現れる…」
 「怪談・87」(貸本/つばめ出版)にて再録されております。(タイトル・ページはそちらを参考のこと)
 小島剛夕先生、十八番の悲恋ものです。
 同じ「結ばれぬ恋」にしても、今回は「手古舞」(てこまい)の描写がアクセントになっております。
 日本の文化に対して恐ろしく(いや、恥知らずは程!!)無知な私には、「手古舞」の描写は非常に興味深いものがありました。機会があれば、観てみたいものであります。

・落合二郎&サツキ貫太「灰色の渦」(1962年6月完成)
「依頼に失敗したために、落ち目の殺し屋、政吉。
 彼は、同郷の久に、背中の病気と嘘をついて、金をねだる。
 久は、過去に、政吉に仕事を世話したのに裏切られ、片手をなくし、今はゴミ拾いをしていた。
 久は政吉の言葉に半信半疑であったものの、ベンチに誰かが置き忘れた薬を目にして、政吉の言葉を信じてしまう。
 思わぬ偶然で、金を手に入れた政吉は、薬を川に投げ込んで、意気揚々と部屋に戻る。
 だが、彼の背中には、殺した男の祟りによって、人面疽ができていた。
 彼は人面疽専門の医者を訪れるのだが…」

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け、かつ、若干痛み。背表紙色褪せ。糸綴じの穴あり。p45(いばら作品)、人物の顔をこすって消してある。p70(小島作品)、p135(予告編)、イラストの勉強をしていたのか、鉛筆で区画分け。p92、鉛筆でキャラの顔に落書き。巻末に貸出票の剥がし痕と貸本店のスタンプ押印。

2018年5月29日 ページ作成・執筆

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