「オール怪談・38」(170円)
収録作品
・いばら美喜「眼には眼を」
「あるバス停に降り立った、サングラスをかけた男。
彼の眼は邪眼であり、彼の眼を見てしまうと、その者の目は潰れてしまう。
彼は東京観光に来た際に、彼のために失明した女性を空き地に呼び出す。
彼は両親の呵責に耐えかね、家を売った金を持って、謝罪をしに来たのであった。
待ち合わせの空き地に、サングラスをかけた女性とその弟が現われるが…」
「オール怪談・75」(ひばり書房)、並びに、「ブラック怪談」(ひばり書房黒枠)にて再録。
・小島剛夕「眠れぬ墓標」
「八丈島からの赦免船を待つ志津。
その船には、志津の恋人だった正太郎を殺したと疑われた冬吉が乗っていた。
しかし、冬吉は発狂し、正太郎の死体も見つからず、事件は今も霧の中。
真相を明らかにしたいと望む志津だが、もう一人、冬吉を待っていたものがいた。
それは大工の棟領で、志津に横恋慕した彼は、冬吉の手を借りて、正太郎をノミで殺害し、地中に埋める。
その際に、棟領は秘密を知った冬吉も殺そうとするが、失敗。
だが、冬吉はその時の頭を強く打ち、発狂し、その結果、冬吉のみが疑われて、島流しにあったという経緯があった。
冬吉が正気に返れば、己の罪が発覚するのは必至、棟領は冬吉をさらって、消そうとするが…」
「オール怪談・74」にて再録。扉絵をご覧になりたい方はそちらのページにどうぞ。
・古賀しんさく「君を思えばこそ」
「脳手術研究所の所長の気掛かりは、低能な息子のこと。
実の子ではなかったが、心底大切に想い、世間並みになるぐらいまで脳の手術を行う。
だが、それではあきたらず、別の優秀な脳と入れ替えることを願い、日々、研究に没頭する。
ある時、所長は、助手の奥野から、息子の恐ろしい計画を聞かされる。
息子が自動車事故を偽装して、所長を殺し、その脳を自分に移植するように、奥野に頼んだと言うのだが…」
・落合二郎&サツキ貫太「変貌」
「ボスが「風来の辰」という野郎に殺されてから、ヒロシとサブは病弱な、ボスの娘、美子の面倒を看ていた。
ある日、サブが風来の辰の居所を突き止め、ヒロシとサブはその隠れ家に乗り込む。
だが、これは美子とヒロシの仲を羨んだサブの陰謀で、その場でサブはヒロシを射殺。
サブが帰宅すると、新聞でヒロシが拾った宝くじが大当たりであることを知る。
彼は、ヒロシを殺した家に戻り、彼の死体から宝くじを回収する。
しかし、ヒロシの死に顔を見たサブは…」
このコンビの作品は味わい深いものが多いのですが、この作品は、ストーリーを捻り過ぎて、ラストがいまいち意味不明です。
・備考
セロハン紙、剥がし痕あり。カバー痛み、かつ、背表紙の上あたり、欠損。p41、p49、墨による汚れあり。後ろの遊び紙にスタンプ押印、書き込み等あり。
2018年10月8日 執筆・ページ作成