「オール怪談・41」(発行年月日不明/170円)
収録作品
・浜慎二「だれかたすけて」
「とあるデパートの4階の婦人服売り場で、夜警の変死が相次ぐ。
デパート側はこの事を秘密にして、健康な青年を夜警に雇ってみる。
青年が、深夜のデパートを見回りしていると、4階の婦人服売り場で腕から血を流しているマネキン人形を見つける。
その血を調べてみると、明らかに人間の血であった。
青年はその血を瓶に集め、血液銀行(時代を感じさせます)に売って、一儲けするが…」
深夜の人気のないデパート…そこに立ち並ぶマネキン人形…って怖いですよね。
オチがちとわかりにくいのが難点ですが、雰囲気満点です。
んにしても、怪奇物にマネキン人形を最初に持ち込んだ人は誰なんでしょうか?
・小島剛夕「糸ぐるま」
「伊賀の里。
そこでは上忍と下忍にわかれており、下忍は常に虐げられる立場にあった。
下忍の加源太(かげんた)は首領の娘、おぼろと相思相愛の仲。
しかし、おぼろの許婚である、上忍の陣十郎は事あるごとに加源太につらく当たる。
ここでは自分の将来がないと、加源太は伊賀を脱け出し、いつか出世して、おぼろを迎えに来ると、おぼろに伝える。
別れの夜、おぼろは加源太に糸を渡し、糸車が回る間、無事を祈り続けると言う。
だが、加源太の計画は陣十郎に漏れており、伊賀抜けの途中、だまし討ちに遭い、絶命。
糸車が回転を止めた時、おぼろの眼に一つの決意が灯る…」
怪談の要素は薄いのですが、よくできております。
単なる純愛ものではなく、見事な復讐譚で、完成度は高いです。
(ただ、所々、不安定な描線がありますが…多忙だったんでしょうか?)
・北風三平「埋ずもれていた男」
「拡張工事真っ最中の羽田の工事現場。
麻薬の運び屋をしていた男が、殺し屋に消されようとしている。
隙を見て、逃げ出した男は、銃を持った骸骨を発見する。
すると、骸骨が徐々に生きた人間になり、殺し屋達を返り討ちにしてしまう。
その骸骨は、ここで殺された「合鍵のジョージ」という殺し屋だった。
男はジョージに自分の命を狙っている男を殺ってくれと頼むが…」
ギャングものに、幽霊というかゾンビ(?)が絡むという、ヘンな話。
内容もヘンなら、オチもヘン。
でも、アクション・シーンは頑張っていて、面白いと私は思います。
・古賀しんさく「殺しの方法」
「自分の殺人の目撃者である友人を狂わせようともくろむ男。
その友人はとても気が弱いので、怖い絵を見せて、ノイローゼ寸前に追い込む。
その怖い絵には作者がいて、その画家は怖い絵を描くためなら、殺人をも厭わぬ大変人。
その画家からショック死は確実だという絵を男は預かるが…」
ロバート・ブロック「名画」が元ネタです。
「エコエコアザラクB」収録の「踊るコブラ」でリメイクされております。
・備考
表紙に折れあとあり。糸とじあり。1ページ目の右側3センチぐらいが遊び紙と貼り付け。切れ(特に、浜慎二作品)、染み多し。
2014年8月17日 ページ作成・執筆
2021年5月12日 加筆訂正