「オール怪談・42」(170円)



 収録作品

・いばら美喜「ボス」
「高尾クラブのボスが常に携えているカバン。
 このカバンは、ボスが殺し屋に狙われたような時に、中から銃弾が飛び出し、何度もボスの危機を救っていた。
 ある日、一人の男がボスを絞殺し、そのボスになり代わる。
 彼は一年もの間、ボスを観察し続け、入れ替わる機会を待っていた。
 彼が知ることとなる、カバンの秘密とは…?」

・小島剛夕「黒いまんじゅしゃげ」(注1)
「賊徒として処刑される彰義隊の武士達。
 彼らの首切り役を引き受けたのは、榊絃十郎(さかき・げんじゅうろう)という元・彰義隊の武士であった。
 下級旗本という身分のために、今まで散々自分を犬扱いしてきた旗本達を、彼は次々と討っていく。
 彼は、忌み嫌われ、陽の目を見ることができなくても、赤い花を咲かせる彼岸花(曼珠沙華)に自分を投影するのだが…」
 主人公が首切り役のために、非常に血生臭い内容となっております。(穴の中が生首でいっぱいという描写もあります。)
 個人的には、後の大傑作「首斬り朝」(注2)を連想いたしました。

・北三平(注3)「脱獄」
「刑務所から三人の囚人が脱獄する。
 三人のうち、二人は死刑囚、もう一人は二人の脱獄に乗じて、逃走したのであった。
 死刑囚のうちの一人は、若い死刑囚に何かと世話を焼く。
 と言うのも、若い死刑囚は、彼の巻き添えを喰っただけで、実は無実なのであった。
 その罪滅ぼしのために、彼は、若い死刑囚だけを逃そうとする。
 しかし、彼らに付いてきた囚人が、若い死刑囚から服や食料を奪おうと襲いかかる…」

・古賀しんさく「気違い」
「生まれ故郷のK島に戻って来た男。
 彼は旧友の神田と再会し、彼の家に厄介になる。
 その夜、島の精神病院から危険な患者が数人、逃走したという知らせがあり、怯えた二人は厳重に戸締りをする。
 夜更け、戸を叩く音がするので、開けてみると、外には脱走した女性患者がいた。
 彼女は、自分は気違いでなく、院長の殺人を目撃したために病院に監禁されたと訴えるのだが…」

・注1
 表紙と目次では「黒い曼珠沙華」となっております。

・注2
 小島剛夕先生の作品で、最も好きな作品です。
 私が中学生の頃、担任の男教師が図書館に寄贈した本の中に、この文庫本が紛れ込んでおりました。
 当時、ホラー映画に夢中だった私は、斬首シーンに目を惹かれて、手に取ったのですが、それよりも、処刑される人々を巡る濃厚なドラマに衝撃を受け、また、魅了されました。
 大学生になって、愛蔵版の全揃いを古本屋で購入したものの、後に、ほとんど親に捨てられてしまい、今はほとんど内容を覚えておりません…。

・注3
 目次では「北風三平」となっております。
 作品の扉絵では「北三平」となっていることがたまにありますが、これって作者のきまぐれなんでしょうかね?

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付けと痛み。pp13・14、pp47・48、pp59・60、pp73・74、pp87・88、コマ内に破れあり。pp47・48、下部に切れあり。pp64・65、シミひどし。後ろの遊び紙にスタンプ幾つも押印。後ろの袖にマジックインキでの落書きあり。

2018年10月7日 ページ作成・執筆

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