「オール怪談・44」(発行年月日不明/190円)
収録作品
・浜慎二「まったくツイてる」
「会社の金を使い込み、発覚を恐れて、自殺を図ろうとする青年。
しかし、何度やっても、うまくいかない。
すると、死神が現れて、青年に寿命があるのでまだ死ぬことはできないと告げる。
どうせ死ねないと開き直った青年は、ヤクザの一味になるが…」
・小島剛夕「魔神の技」
「自分に自信を持てぬ侍が、とある托鉢僧に教えられ、神社に封印されている妖刀村正を手にする。
大切な試合には勝ったものの、彼の噂を聞いた武芸者達を次々と斬ることになり、侍は自分が村正に操られていることを知るのだった…」
「怪談・99」(つばめ出版)にも収録。
・北風三平「金の亡者」
「出来心で会社の金を持ち逃げした青年。
彼の母のもとに、会社から探偵がやってくる。
青年を前科者にしたくなければ、金を返すよう、探偵は母親に言うが、どこにもそんな大金はない。
嘆く母親だったが、波打ち際に木箱が漂着しているのを見つける。
その中は、札束でいっぱいで、全身を紙幣に覆われている人間らしきものがいた。
彼は、母親に身体を売るようもちかける…」
・古賀しんさく「おれは狂人じゃねえ」
「とある村の、変わり者で知られる隠亡。
彼のもとに、旅をしている、魔術師の夫婦が尋ねてくる。
魔術師の妻は、保険金目当てに夫を殺すため、隠亡に「夫は魔法使いで、自分は捕らわれている」と説明。
それを真に受けた隠亡は、魔術師を殺害。そのステッキを「魔法の杖」だと思い込み…」
元ネタは、ロバート・ブロック「魔法使いの弟子」。
でも、単なるパクリではありません。
最後のページで、完全な「古賀ワールド」にしちゃってます!!
古賀新一先生の並々ならぬ手腕が窺えます。
よくよく考えてみますと、かの大傑作「エコエコアザラク」だって、どんな「とんでもはっぷん」な内容にしろ、ラストのコマで「エコエコアザラク エコエコザメラク」と黒井ミサが立ち去るだけで、「エコエコアザラク」という作品になっておりました。
こんな「個性」を持った漫画家さんは滅多にいないのでは?
・注1
「ロバート・ブロック短編集 楽しい悪夢」(ハヤカワ文庫/昭和50年5月31日発行・昭和62年6月15日三刷)収録
・備考
ビニカバ貼り付け。糸綴じあり。71ページにテープによる補修あり。
平成26年6月18日 執筆・ページ作成