「オール怪談・48」(190円)



 収録作品

・いばら美喜「灯台もと暗し」
「母親の顔を見るため、海辺の町に帰省した青年、研児。
 彼が町を去ろうとしている時、灯台守の男から灯台まで来てくれと頼まれる。
 灯台近くの岩壁に不審な男がずっと立っているというのだ。
 二人が灯台に行くと、灯台守の娘がその男に捕まっており、灯台守は射殺される。
 その男は麻薬を密輸しており、その密輸船を待っている最中であった。
 駐在と、強盗殺人犯を追う刑事二人もその場に駆けつけるが、娘を人質に取られ、手も足も出ない。
 すると、研児が岸壁を登って、娘を助けると言い出す…」

・小島剛夕「血牡丹吹雪」
「藩中きっての名園と謳われる、ある家臣の庭園。
 植木職の父を持つ房吉はその庭園を愛し、丹精を込めて手入れをする。
 ある日、女中として雇われた仙という娘に彼は一目惚れ。
 庭仕事を通じて、房吉と仙はゆっくりと愛を育んでいく。
 だが、仙は、庭園の雪見に訪れた殿様の目に入り、お側仕えとして城に召し上げられることとなる。
 家臣は、自身の出世のために、仙にお側仕えを強要し、房吉も納得の上と嘘をつく。
 一方の房吉も仙は納得したと偽ろうとするが、房吉は仙と話をさせるよう譲らず、家臣によって斬殺される。
 そして、季節は巡り、房吉の血を吸った庭園が雪に覆われる頃…」

・サツキ貫太「わス物語」
「東京に住む兄妹のところに、田舎から弟の次郎がやって来る。
 彼は、母親が亡くなる時に、父方の祖母に預けられ、その祖母が亡くなったのを機に、引き取られたのであった。
 兄妹は、父親が海外に出張中なのをよいことに、田舎者丸出しの次郎を毛嫌いし、馬鹿にする。
 次郎は孤独に苛まされるが、ある日、姉が悪魔(?)と取引をしたことを知る。
 彼女は、音楽家としての成功と引き換えに、自分の影を失おうとしていた。
 次郎は姉の代わりに、自分の影を渡すと悪魔にもちかける…」
 シャミッソー「影をなくした男」と「偏見と孤独に苦しむ田舎者の少年」の強引な融合!!
 田舎者の描写に時代をビンビン感じます。
 当時から「東京のお星さまは冷たく見える」ものだったんですね。

・北風三平「骨のチューインガム」
「ボクサーの谷は大して強くなかったが、カムバック後、凄い勢いで勝ち進んでいく。
 だが、彼には奇妙な点が幾つもあった。
 食べるものは骨で、対戦相手は皆、彼を化け物扱いする。
 また、対戦後はすぐに姿をくらまし、誰も彼の住所を知らない。
 そんな謎だらけの彼が後に残すのは、白いチューインガムのカスだけ。
 しかし、そのカスを分析すると、何と、鳥の唾のついた、人間の骨であった。
 プロモーターの内田は彼について調べていくと、意外な事実が判明する…」
 奇妙な話です。
 もうちょっとうまくまとめていれば、佳作になったように思います。

 目次のページですが、目次の印刷を忘れて、空白になっております。
 今更、驚きもしませんが…。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕がひどい!!(画像は好意でつけてもらったコピーです)。カバー痛みや汚れ、激しい。カバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とスタンプ押印あり。

2018年5月24・27日 ページ作成・執筆

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