「オール怪談・49」(発行年月日不明/190円)
収録作品
・浜慎二「妄執の影」
「舞台は競馬界。
菊花賞のレースの出場を巡り、候補を争う、騎手の山上と平川。
山上は以前、骨折した右肩が思うようによくならず、ライバルの平川に菊花賞の出場を奪われてしまう。
平川が不調の件を馬主に告げ口したと思い込んだ山上は、ガラの悪い友人に密かに平川を襲わせる。
刺傷事件により、山川は菊花賞に出場することができるが、さて、レース当日…」
・小島剛夕「女妖の火」
「山中で道に迷った武士がたどり着いた人家。
そこにはガラの悪そうな男たちと一人の女。
その中の親分格の男はここは木こりのたまり場と言うが、実は、追いはぎの一味の隠れ家だった。
追いはぎの一味は武士を殺そうとし、女が武士に痺れ薬の入った酒を飲まそうとする。
その際に、女は武士から旅の理由を聞きだす。
武士には長らく愛し合った千根という女性がいた。が、重臣の姫君に見初められ、家名のためと結婚を強要される。武士は千根と駆け落ちを決行しようとするも、事前にばれてしまい、失敗。それ以来、失踪した千絵を探して、旅をしているという。
だが、追いはぎの首領の女が、その千根だった…」
小島剛夕先生の作品に珍しい、「眉太」な女性キャラです。
この本には落書きが多いので、落書きかと思ったのですが、大丈夫でした。
・サツキ貫太「消えた峡谷」
「父が死に、母の故郷に帰って来た兄弟。
彼らは、とあることから、生きて帰ってきた者のない怨霊谷に入り込む。
そこは戦国時代の悲惨な伝説があった…」
説明が非常に長くなりますので、簡単にまとめてしまいましたが、個人的には、非常に琴線に触れる作品です。
陳腐かつ他愛のないマンガであることは否定しません。
しかし、何百年にも渡る、幽霊達の孤独や苦痛を描いている点は、ポイントが高いと思います。
・北風三平「金庫破り」
「若いながらも、人一倍働き、小さいながらも自動車整備工場の社長である青年。
彼は結婚し、ハネムーンに出かけようという、幸福の絶頂にあった。
が、彼には後ろ暗い過去があった。
過去、名の知れた金庫破りとして、刑事に追われる身だったのだ。
その刑事の影に怯える青年だが、ある日、立ち寄った銀行で、子供が金庫の中に閉じ込められるという事故が発生する。
昔取った杵柄で、金庫を開けようとするが、その場に刑事の姿があった…」
元ネタは多分、オー・ヘンリーの短編だと思うのですが、手許に本がありませんので、確認取れておりません。
パクリと言えば、パクリですが、ちゃんと怪談にしたててあるのに、好感が持てます。
・備考
状態悪し。カバー欠。糸綴じあり。上部の空欄に貸本屋のスタンプ押印。p4(浜慎二作品)「目に血管」の落書きあり。pp109〜111、p113、p132(北風三平作品)、p134(小島剛夕「美女さくら」予告)にボールペンやサインペンによる落書きあり(p113、p134はかなりひどい)。表紙・裏表紙の裏に、茶紙による補強あり。
平成26年8月17〜19日 ページ作成・執筆