「オール怪談・51」(1964年2月頃?/200円)



 収録作品

・浜慎二「バラの刑」
「山奥にある、いまだ知る人の少ないバラ温泉。
 その付近で、凶悪犯が護送中の車から脱走する。
 刑事の死体から手錠の鍵と拳銃を奪うものの、一人では手錠を外せない。
 彼は通りすがりの老人を脅して、手錠を外させ、その後、射殺。
 老人の向かっていた先には村があり、その村は噂通り、垣根にバラが咲き誇っていた。
 凶悪犯は、バラを調べに来て、道に迷ったと偽って、ある家に厄介になる。
 その家は、射殺した老人の家族の住む家であった。
 老人の一番下の孫息子は彼を毛嫌いし、こっそり様子を窺っていると、拳銃に気が付く。
 翌日、家族が家を離れてから、孫息子は凶悪犯から拳銃を奪おうとするのだが…」

・いばら美喜「姉さん」
「ある夜、大学生が、水商売の若い女性から盲目の弟を円山の家に送るよう頼まれる。
 彼は快く頼みを引き受け、彼女の弟を家に送ると、その家は立派な邸であった。
 だが、弟はあと十日でこの家を出なければならないと話す。
 一年前、彼らの父は金持ちで、この家を抵当に二千万円の宝石を購入した。
 盗難を恐れた彼は秘密の部屋に宝石を隠すが、交通事故で急死。
 以来、姉はあちこち探し回るが、宝石は見つからないまま、返済期限が間近に迫っていた。
 このままでは、姉は盲目の弟を養うために、水商売をして働き続けねばならない。
 死にたいと嘆く弟に、青年は、宝石を見つけるためには姉か弟が死ぬしかないと話す。
 どちらかが死んで、あの世の父親から宝石の隠し場所を聞いた後、幽霊となって、それを生きている方に話せばいいという理屈であった。
 翌日の夜、帰宅途中の姉は何者かに絞殺される。
 そして、姉の幽霊は弟のもとに現れ、隠し場所を教える。
 弟は盲目の身の上のため、昨夜の大学生を呼び出すのだが…」

・サツキ貫太「貴様と俺とは」(1964年2月頃完成)
「二十代半ばの兄貴と、彼を心から慕う二十歳前のイサオは、戦争孤児であったが、保護施設を脱走した後、盗みを生業としていた。
 二人はうまく協力し合って、この五年間一度も捕まらず、金を貯めて、いつか会社を興すことを夢見る。
 ある夜、金持ちの老婆の家に侵入するものの、イサオのミスで、老婆に勘付かれてしまう。
 兄貴は、正体を知られたために、初めて殺人を犯す。
 イサオは老婆の死にショックを受け、ひどく気落ちする。
 そんな時、兄貴は、イサオが、金庫屋で働いている娘と付き合っていることを知らされる。
 その娘の父親は刑事であり、兄貴は、イサオが彼を売ろうとしていると思い込み、イサオを殺害。
 彼の死体を、彼らが住んでいるアパートにある秘密の穴蔵に隠そうとするのだが…」

・小島剛夕「さいはてに花と咲くらん」
「慶長年間、蝦夷。
 アイヌの民の中で暮らす佐四郎。
 彼には、どこへ行こうとも、亡き石田三成の霊が絶えずつきまとっていた。
 七年前の関ヶ原の戦いにて、西軍の総大将、石田三成は敗走。
 佐四郎は三成に付き従うが、親友であった藤木東馬の裏切りにより、三成は戦死、そして、最愛の姫は東馬に奪われてしまう。
 どうにか生き延びた彼は、戦うことの空しさから逃れようと、はるばる蝦夷にまで来たのであった。
 その頃、奥州松原藩へのアイヌの抵抗運動が激しさを増していたが、彼は一切関わろうとはしない。
 だが、幕軍の大将が、仇の藤木東馬であることを知ると、戦好きの血が再燃。
 アイヌの民を従え、幕軍を各地で撃破し、東馬の軍を追い詰める。
 最後の決戦を前に、佐四郎のもとに、東馬の軍から軍使が送られる。
 それは、今は東馬の妻となった姫が、佐四郎と一対一で会いたいとの知らせであった。
 アイヌの民も三成の霊も罠だと佐四郎と止めようとするが、彼は姫の待つ高台に向かう…」

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。小島剛夕の作品、シミ多し。

2017年10月26日 ページ作成・執筆

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