「オール怪談・55」(1964年10月頃?(注1)/200円)



 収録作品

・小島剛夕「濡れにぞ濡れし」
「難破船の生き残った恋人同士、良太と加代。
 漂流中の二人は運良く舟に拾われたものの、それは海賊船だった。
 良太は海に投げ込まれ、加代はルソンで異人に売り飛ばされてしまう。
 異人は加代に親切にしてくれて、何不自由ない生活だったが、良太のことを想うと、胸が痛む。
 一方、加代を売り飛ばして、大儲けした海賊達だが、頭の前にたびたび良太の姿が現われるのだった…」

・藤咲のぼる(いばら美喜)「鮮血」
「優れた腕を持ちながら、浪人暮らしの甲田。
 彼が親友の笹川の家を辞去した後、笹川の家に賊が押し入り、千利休の茶器を奪う。
 笹川の弟からこのことを聞かされた甲田は、急いで引き返すが、笹川は奉行のもとに切腹に行っていた。
 笹川の姉によると、千利休の茶器は将軍家の秘蔵の品で、奉行が預かっていたものだと言う。
 家には賊の落とした印籠が残されていて、その家紋は奉行の職を狙う松村内記のものだった。
 甲田は親友の命を救うため、松村内記の屋敷に訪れ、松村内記らを斬殺、茶器を取り戻すが…」
 いばら美喜先生の古い時代のペンネーム、藤咲のぼるの名義なる作品であります。
 多分、「忍法帖」(ひばり書房)か何かに収録されたものの再録であろうと思います。

・後恵三郎「太陽を背に」
「宮本武蔵と佐々木小次郎による、巌流島での決闘について、作者が新解釈を披露する。
 慶長十七年、細川藩の指南役を勤める佐々木小次郎は、突如、刺客の忍者達に襲われる。
 忍者達は、昔、今は亡き師匠の富田勢源により暗殺の依頼を受けていたのだった。
 しかし、忍者達の暗殺計画はことごとく失敗。
 そのうち、小次郎と武蔵の決闘話が持ち上がる。
 ここで小次郎が討たれては今までの苦労は水の泡と、忍者達の一人が武蔵として小次郎に立ち向かうことになるのだった…」

・関すすむ「魔笛」
「斬殺した家来、川上新伍の生首に怯える細田伊織。
 生首をいくら捨てても、いつの間にか生首は彼の近辺に出現する。
 また、川上新吾の生首が現われる時、必ず鳥笛の音が鳴り、細田伊織はますます錯乱する。
 そして、その鳥笛には細田伊織の後ろ暗い過去の秘密が隠されていたのだった…」

 ・注1
 巻末に「第2回テープレコーダー抽選クイズ出題」のコーナーがあり、締切が「昭和39年11月30日」となっていたので、1964年10月頃と推測。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。カバー痛み。糸綴じ穴あり。ホッチキスによる綴じあり。前の遊び紙破れ。目立つシミ、非常に多し。p132、ボールペンによる落書きあり。後の遊び紙に貸出票の剥がし及び書き込みあり。

平成26年11月24・25日 ページ作成・執筆

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