「オール怪談・59」(220円/1965年)



 収録作品

・小島剛夕「目かくし鬼」
「越後国。
 目を手ぬぐいで覆った少女を連れた、旅の浪人。
 浪人は行く先々で、特定の人物に真剣勝負を挑む。
 試合には少女も連れて行き、その間だけ目の覆いを外す。
 少女の目を見た相手は、浪人になすすべもなく、斬られてしまうのであった。
 少女の目にまつわる秘密とは…?」
 「蛇眼」と並ぶ、「邪眼」ものの佳作です。
 かような優れた作品が何故いまだ埋もれたままにまかせておくのか、理解に苦しみます。

・岩井しげお「三匹の鬼」
「雇い主を求めて、諸国をさすらう貧乏浪人。
 彼は、宿で相部屋になった座頭の秘密を知る。
 座頭は先祖伝来の掛け軸を持っており、その掛け軸には三匹の鬼が描かれていた。
 夜、その鬼に願い事をすると、鬼が掛け軸から抜け出て、それを叶えてくれるのであった。
 浪人は座頭を旅の途中で殺害し、掛け軸を奪う。
 その掛け軸を用いて、桑名藩の家老に召し抱えられるが、思わぬ陥穽が…」

・白土三平「赤目(第二部)」
「領主伊予守信平の暴力と恐怖の圧政は続く。
 年貢を納めることのできない農民は惨殺され、一揆の計画も未然に叩き潰される。
 絶望のあまり、天を仰ぐ農民達の前に、片目片足の乞食僧が現れる。
 僧は、農民達の苦しみは、赤目様(兎)の呪いであると説く。
 赤目教は救いを求める農民達の間に瞬く間に広がり、彼らは兎を崇め始める…」
 この「第二部」では農民達が惨たらしく殺される、残酷描写が炸裂しております。
 これは、今現在から見ても、かなりエグいです。
 また、女性の裸体描写もあり、暴行を思わせる描写もあります。
 「オール怪談」での「赤目」は再掲載されたもので、もとは1961年に描かれております。(注1)
 あの時代にこれだけのものを描いたなんて…凄過ぎる…。

・注1
 「赤目」は小学館文庫で読むことができます。(1998年10月10日初版第1刷発行)
 内記稔夫(ないき・としお)氏による、非常に資料性の高い解説もあり、「赤目」を読んでみたい方にはお勧めです。
 んにしても、私、「カムイ伝」も「サスケ」も読んでおりません。
 そんな人間がマンガについてゴチャゴチャ書いたところで、笑止千万!!
…なのではありますが、他の方の邪魔にならないよう、隅っこの方に引っ込んでおきますので、どうか独りで「うじゃうじゃ」(竹本泉先生風)させてくださいませ。

・備考
 カバー貼り付け。パラフィン紙の剥がし痕あり、袖や遊び紙に貼りつきや破れあり。本体に歪みあり。

2016年6月5日 ページ作成・執筆

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