「オール怪談・62」(1965年夏頃/220円)



 収録作品

・小島剛夕「血牡丹の塔」
「亡き母の供養のために、とある寺を訪れる姫。
 その寺には、亡き母がこよなく愛した牡丹が咲き誇っていた。
 牡丹供養から帰城した夜、姫は何者かの影に襲われる。
 姫のもとにかけつけたお局は頓死してしまう。
 その夜を境に、腰元達が夜な夜な怪死を遂げる。
 怪死した者は皆、失血死しており、首もとに血色の牡丹のような痣を残していた…」
 傑作だと思います。
 とにもかくにも「怪談」「オール怪談」シリーズの中で、最も好きな作品です。
 小島剛夕先生の作品で、バリバリの「怪奇マンガ」ってありそうでないんです。
 私の知る範囲で思いつくのが、この作品と「黒い腕」「蛇眼」「黒百合城」。
 個人的に、姫の描写が優れていると思いますので、この作品を個人的ベストに挙げます。

・岩井しげお「虚無」
「とある古寺に集まった虚無僧達。
 そこには虚空道士と名乗る虚無僧がいて、ここに来た虚無僧に生活費として十両渡すと言う。
 ただし、条件として、素性と行状を正直に話すことが求められる。
 集まった虚無僧達は質問に答えるが、そろいもそろって、悪行三昧で正体を隠すために虚無僧になったものばかりであった。
 それでも約束は約束、彼らは順番に虚空道士の部屋に金をもらいに行くが、片端から発狂するか、頓死していく…」

・福田三省「猫は見ていた」
「義賊を気取ってはいるが、実際は単なる極悪非道な盗賊の「鼠」。
 その鼠を追う、年老いた岡引は一度は鼠を捕まえたものの、鼠は脱獄、復讐として岡引は刺し殺される。
 岡引の娘は父の仇と鼠を追うが、家で飼っていた黒猫がいろいろと手引きをしてくれる。
 そして、黒猫は鼠の行く手に何度も現れ、鼠に破滅をもたらすのだった…」
「怪談・別冊H」(つばめ出版)からの再録。

 巻末(p136)に「旅行けば! 脱線てんまつき」という文章あり。
「ひばり書房・つばめ出版+作家連合軍」が5月22日に箱根に旅行した旨を記事にしております。

・備考
 状態非常に悪し。ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。小口研磨により、一回り小さくなり、作品まで削れてます…(Oh,my…)。前見返し欠如。後見返し破れ。pp3〜10までコマにかかる小欠損及び切れ。pp27〜30(小島作品)、目立つシミあり。p56(岩井作品)、p104(福田作品)、鉛筆による落書きあり。

平成26年12月1・2日 ページ作成・執筆

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